殷 (西周)

殷（いん）

殷は、西周の初期に存在した諸侯国です。国君は子姓であり、前王朝である殷の最後の王、帝辛（紂王）の子である武庚が封じられました。国都はかつての殷の首都であった殷墟に置かれ、その管轄区域は現在の河南省北部、河北省南部、そして山西省南東部の一帯に広がっていました。

建国

周の武王は殷を滅ぼした後、殷の遺民を安撫する政策を採りました。その一環として、武王は帝辛の子である武庚を殷の地に封じ、旧都である殷墟を拠点とさせました。しかし、殷の遺民の反乱を警戒した武王は、殷の南西に位置する霍（かく）、管（かん）、蔡（さい）の三箇所に、殷を監視する目的で諸侯を配置しました。これがいわゆる「三監」と呼ばれるものです。

滅亡

武王が崩御した後、子の太子誦（しょう）が王位を継ぎ、成王となりました。成王が幼かったため、魯の周公旦が入京して輔政を行いました。しかし、この周公の輔政に不満を抱いたのが、殷の武庚と「三監」の諸侯たちでした。彼らは周王朝に対して反乱を起こし、この反乱は「三監の乱」として知られています。武庚は「三監」の諸侯や、東夷などの勢力と結託し、各地で反乱を繰り広げました。

「三監の乱」は最終的に周公旦によって鎮圧され、武庚は処刑されました。その後、周公旦は殷の地を二分し、西部を衛（えい）として、弟の康叔封（こうしゅくほう）を封じ、東部は宋（そう）として、微子啓（びしけい）を封じました。これにより、殷の勢力は大きく弱体化されました。

歴代君主

殷の君主は、歴史上ただ一人しか記録されていません。

* 武庚（ぶこう）：在位期間は紀元前1027年から紀元前1024年までとされています。

まとめ

殷は、周王朝初期に短期間存在した諸侯国であり、旧殷王朝の遺民を統治するために設けられたものの、武庚の反乱によって滅亡しました。その後の周王朝による分割統治は、後の歴史に大きな影響を与えました。

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