殺菌剤 (農薬その他)の一覧

医薬品以外における殺菌剤一覧

本記事では、医薬品以外の用途で使用される様々な殺菌剤について、その種類と代表的な商品名を網羅的に解説します。殺菌剤は、農業、工業、その他様々な分野で病原菌の繁殖を防ぐために使用されており、その種類は多岐に渡ります。

殺菌剤の種類と例

殺菌剤は、その有効成分の化学構造や作用機序に基づいて、様々な種類に分類されます。以下では、主要な分類と具体的な例を示します。

1. 硫黄系殺菌剤

硫黄は古くから殺菌剤として使用されてきた歴史ある成分です。硫黄系殺菌剤には、無機硫黄系と有機硫黄系があります。

無機硫黄系: 多硫化石灰（石灰硫黄合剤）、硫黄（イオウフロアブル、コロナフロアブルなど）
有機硫黄系: ジチオカーバメート系（マンゼブ、マンネブ、ジネブ、ポリカーバメート、アンバム、チウラム、ジラムなど）、有機ニッケル（サンケル）、プロピネブ、アントラコールなど。有機硫黄系殺菌剤は、ジチオカーバメート系以外にも様々な種類があり、さらに細分化された分類が用いられることが多いです。

2. 銅系殺菌剤

銅も殺菌効果を持つ金属で、古くから殺菌剤として利用されてきました。

無機銅系: 硫酸銅（ボルドー液の成分としても使用）、生石灰（ボルドー液の調合に使用）、塩基性硫酸銅カルシウム（ボルドー液）、塩基性塩化銅（サンボルドーなど）、塩基性硫酸銅、水酸化第二銅など。
有機銅系: DBEDC（サンヨール）、8-ヒドロキシキノリン銅（オキシンドーなど）、ノニルフェノールスルホン酸銅（ヨネポン）など。

3. 水銀系殺菌剤

水銀系殺菌剤は、高い殺菌効果を持つ一方で、人体や環境への毒性が高いことから、昭和48年10月29日に農薬登録が失効し、現在では使用されていません。

例：MEMC（ウスプルン）、PMA（セレサンなど）

4. 有機塩素系殺菌剤

有機塩素系殺菌剤は、残留性が長く、環境問題を引き起こす可能性があるため、使用が制限されているものもあります。

例：TPNまたはクロロタロニル（ダコニールなど）

5. 有機リン系殺菌剤

有機リン系殺菌剤は、神経系に作用する毒性を持つため、使用には注意が必要です。

例：EDDP（ヒノザン）、IBP（キタジンP）、ホセチル（アリエッティ）など

6. カルボキサミド系殺菌剤

例：イプロジオン（ロブラール）、プロシミドン（スミレックス）など

7. ベンゾイミダゾール系殺菌剤

例：チオファネートメチル（トップジンMなど）、ベノミル（ベンレート）など

8. エルゴステロール生合成阻害剤

エルゴステロール生合成阻害剤は、真菌の細胞膜成分であるエルゴステロールの生合成を阻害することで殺菌作用を示します。

例：トリアジメホン（バイレトン）、ビテルタノール（バイコラール）、テトラコナゾール（サルバトーレなど）、イミベンコナゾール（マネージ）、ヘキサコナゾール（アンビル）、トリフルミゾール（トリフミン）、ミクロブタニル（ラリー）、ジメトモルフ（フェスティバル）、トリホリン（サプロール）、ジフェノコナゾール（スコア）、シメコナゾール（サンリット）など。

9. グアニジン系殺菌剤

例：イミノクタジン酢酸塩（ベフランなど）、イミノクタジンアルベシル酸塩（ベルクート）など

10. チオフェン系殺菌剤

例：ペンチオピラド（アフェットなど）

11. アニリノピリミジン系殺菌剤

例：メパニピリム（フルピカ）

12. フェニルアミド系殺菌剤

例：メタラキシル（リドミル）

13. 抗生物質系殺菌剤

抗生物質も殺菌剤として利用されます。

例：ストレプトマイシン（アグレプトなど）、ミルディオマイシン（ミラネシン）、カスガマイシン（カスミン）、オキシテトラサイクリン（マイコシールド）、ブラストサイジンS（ブラエス）、バリダマイシン（バリダシン）、ポリオキシン（ポリオキシンなど）、オキソリニック酸（スターナ）など。

14. 抵抗性誘導剤

植物自身の抵抗性を高めることで病害を防ぐ剤です。

例：プロベナゾール（オリゼメートなど）、カルプロパミド（ウィン）、アシベンゾラル、アシベンゾラル-S-メチルなど

15. その他の化学殺菌剤

例：オレイン酸ナトリウム（オレート）、炭酸水素ナトリウム（ハーモメイト）、炭酸水素カリウム（カリグリーン）、次亜塩素酸カルシウム（キャッチャーなど）、次亜塩素酸ナトリウム（サニーエクリン）、ピロキロン（コラトップ）、トリシクラゾール（ビーム）、イソプロチオラン（フジワン）、フサライド（ラブサイド）、ベンチアゾール（イチバン）、スルフェン酸（ユーパレン）、ジチアノン（デラン）など。

16. ストロビルリン系殺菌剤

例：アゾキシストロビン（アミスター）、クレソキシムメチル（ストロビー）、オリサストロビン（嵐）など。

17. その他の天然殺菌剤

例：シイタケ菌糸体抽出物（レンテミン）、なたね油（ハッパ）、酢酸（やさお酢）など。

18. 土壌殺菌剤

土壌中の病原菌を駆除する剤です。

例：ヒドロキシイソキサゾールまたはヒメキサゾール（タチガレン）、臭化メチル（サンヒュームなど）、ヨウ化メチル（ヨーカヒューム）、ダゾメット（バスアミドなど）、クロルピクリン（クロールピクリンなど）、カーバム（NCSなど）、フルスルファミド（ネビジン）、フルアジナム（フロンサイド）など。

19. 生物農薬

微生物などを利用した殺菌剤です。

* 例：非病原性エルビニア・カロトボーラ（バイオキーパー）、アグロバクテリウム・ラジオバクター・ストレイン84（バクテローズ）、バチルス・ズブチリス（アグロケアなど）、タラロマイセス・フラバス（バイオトラストなど）、シェードモナス・フルオレッセンス（セル苗元気など）、バチルス・シンプレクス（モミホープ）など。

免責事項: 本記事の情報は、一般的な知識に基づいて作成されており、専門的なアドバイスではありません。殺菌剤の使用にあたっては、必ず製品ラベルをよく読んで、適切な使用方法を守ってください。また、人体や環境への影響についても十分に注意する必要があります。

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