スイフト・タットル彗星

スイフト・タットル彗星（109P/Swift-Tuttle）

スイフト・タットル彗星は、公転周期約133年の周期彗星であり、ハレー型彗星に分類されます。1862年にルイス・スウィフトとホレース・タットルによってそれぞれ独立に発見されました。核の直径は約26kmと推定され、ペルセウス座流星群の母天体としても知られています。次に地球に接近するのは2126年と予想されており、非常に明るくなると期待されています。

観測史

スイフト・タットル彗星は、過去に何度も地球に接近しており、紀元前574年、紀元前447年、紀元前322年にも肉眼で見えたと考えられています。記録に残る最初の観測は、漢書の地節1年（紀元前69年）に客星が現れたという記述です。また、後漢書には中平5年（188年）にも客星の記録があり、これもスイフト・タットル彗星に該当すると考えられています。

その後、1500年以上観測記録が途絶えましたが、1737年にケーグラーによって観測されました。ただし、彼はこの天体がスイフト・タットル彗星であるとは認識していませんでした。1862年にスウィフトとタットルによって再発見され、公転周期は約120年と予測されました。1992年には、日本のコメットハンター木内鶴彦によって再発見され、双眼鏡でも観測できるほどの明るさになりました。

ペルセウス座流星群

スイフト・タットル彗星は、毎年8月13日頃に極大を迎えるペルセウス座流星群の母天体です。彗星が放出する塵が地球の大気に突入することで、流星群が発生します。1862年の彗星発見後、ジョヴァンニ・スキアパレッリによって、ペルセウス座流星群の母天体である可能性が指摘されました。これは、彗星が流星群の母天体であるとされた最初の事例です。

軌道

スイフト・タットル彗星の軌道は、近日点が地球の軌道よりわずかに内側にあり、遠日点は冥王星の軌道よりも外側にあります。木星と1:11の軌道共鳴をしており、軌道共鳴する彗星としては初めて逆行軌道をとることが判明しました。軌道は比較的安定していますが、長期的には変動する可能性もあります。

地球への接近

スイフト・タットル彗星は、過去に何度も地球に接近しており、今後も接近することが予想されています。特に、3044年には地球に0.011 auまで接近すると考えられています。また、4479年にも接近が予想されていますが、衝突の可能性は極めて低いと推定されています。しかし、地球に非常に接近することから、地球近傍天体に分類され、衝突時の相対速度が非常に速いため、「人類が知っている中で最も危険な天体」とも呼ばれています。

スイフト・タットル彗星の今後の動向は、天文学者によって注意深く監視されています。

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