毒性 (アルバム)

システム・オブ・ア・ダウン - Toxicity

『Toxicity』（トキシシティ）は、システム・オブ・ア・ダウンが2001年9月4日に発表した2枚目のアルバムです。アメリカン・レコーディングスとコロンビア・レコードからリリースされました。

概要

本作は、ビルボード200で初登場1位を獲得し、アメリカ国内で300万枚、全世界で1200万枚のセールスを記録する大成功を収めました。シングルカットされた「Chop Suey!」、「Toxicity」、「Aerials」の3曲は、いずれもビルボード・ホット100にランクインしています。

アルバムタイトルは、メンバーが生まれ育ったロサンゼルスを「Toxic City（有害な街）」と呼んでいたことに由来します。彼らは、この街の表には見えない負の側面を知ってほしいという思いを込めています。

プロデューサーは、前作に続きリック・ルービンが担当。ハードなメタル要素を踏襲しつつ、コーラスを増やしポップソング化を意識したサウンドに仕上がっています。ダロン・マラキアンは、制作にあたりビートルズを参考にしたと語っています。音楽性はオルタナティブ・メタル、スラッシュ・メタル、アート・メタル、ハード・ロック、プログレッシブ・メタル、ヘヴィ・メタルといった多様なメタル要素に加え、メンバーのルーツであるアルメニア音楽、フォーク、ジャズ、中東音楽、ギリシャ音楽など、多岐にわたるジャンルの音楽要素が巧みに取り入れられているのが特徴です。

アルバムには、レコーディングされた30曲以上の中から厳選された14曲が収録されています。未収録曲は、次作に収録されました。

多くの音楽誌やロック専門誌が本作を賞賛し、2001年のアルバム・オブ・ザ・イヤーやベスト・メタル・アルバムの一つに選定しました。メタリカのカーク・ハメットとラーズ・ウルリッヒが2000年代のベストアルバムに選ぶなど、業界からの支持も厚く、バンドの評価を飛躍的に高めた作品として知られています。

収録曲について

Prison Song: 麻薬所持で収容されたアメリカ人200万人を題材に、CIAが麻薬取引で資金調達している現状を批判した楽曲です。
Needles
Deer Dance: 2000年の民主党全国大会をめぐる抗議活動を題材にした楽曲です。
Jet Pilot
X
Chop Suey!: 1stシングル。当初のタイトルは「Self-righteous Suicide（独りよがりの自殺）」でしたが、レコード会社の意向により変更されました。ミュージックビデオには、メンバーが中華料理のチャプスイを食べるシーンがあります。ダロン・マラキアンは、この曲について「死というものは捉え方次第で向き合い方が変わる。薬物の過剰摂取で中毒死してしまう状況を、皆が自業自得だと言うかもしれない。だからこそ、天使は死ぬに値するという歌詞を用いた」と語り、キリストをモチーフにしていることを示唆しています。アルバム発売の翌週にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、政治的な内容を含むこの曲は、大手ラジオ局の放送自粛候補に挙げられました。2001年のグラミー賞最優秀メタル・パフォーマンス賞にノミネートされました。
Bounce: 乱交問題について書かれた楽曲です。
Forest
ATWA: カルト指導者チャールズ・マンソンにインスピレーションを受けて作られた楽曲です。タイトルは、彼の言葉「Air, Trees, Water, Animals（空気、木、水、動物）」の頭文字から取られています。
Science
Shimmy
Toxicity: 2ndシングル。
Psycho: グルーピーについて書かれた楽曲です。
Aerials: 3rdシングル。このアルバムの中で最も売れたシングルカット曲です。2003年のグラミー賞最優秀ハードロック・パフォーマンス部門にノミネートされました。曲の終わりに流れる隠しトラックは、アルメニア人歌手によるフォークソング「Arto」です。

『Toxicity』は、システム・オブ・ア・ダウンの音楽性を確立し、彼らを世界的なバンドへと押し上げた重要な作品と言えるでしょう。

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