比々多神社

比々多神社（ひびたじんじゃ）

比々多神社は、神奈川県伊勢原市三ノ宮に位置し、旧相模国最古の神社の一つとして知られています。その歴史は深く、地域の文化において重要な役割を果たしてきました。旧社格は郷社であり、現在は神奈川県神社庁により献幣使参向神社として承認されています。古くから「冠大明神」という名で呼ばれ、信仰の対象とされてきました。

祭神とその由来

比々多神社の主祭神には、豊斟渟尊（とよくむぬのみこと）、天明玉命（あめのあかるたまのみこと）、雅日女尊（わかひるめのみこと）、日本武尊（やまとたけるのみこと）といった神々が含まれています。相殿神としては、大酒解神（おおさかとけのかみ）や小酒解神（こさかとけのかみ）も祀られています。記録によると、過去には異なる祭神の説がありましたが、現在は上記の神々が主に信仰されています。

歴史的背景

比々多神社の起源は、神武天皇が天下を平定した際に人々を守るために建立されたという伝説に根ざしています。『比比多伝記』によれば、紀元前655年に当社が設立されたとのことですが、発掘された遺物からは縄文時代の祭祀も行われていたことが示唆されています。このことから、比々多神社は日本の古い山岳信仰に関連しており、神社の起源は1万年以上前にさかのぼる可能性があります。

古代の文献も比々多神社の存在を確認しており、706年には社殿の修復が行われ、743年には初代宮司が任命されたことなどが記録されています。また、927年には『延喜式神名帳』にその名が見出されるなど、公式の神社としての地位が確立されていました。

中世から近世にかけての歴史

1184年には源頼朝による社殿の大規模な再建が行われ、以後も多くの信者による寄進が続きます。しかし、1492年から1501年の明応年間には兵火によって社領の一部が失われ、大いに衰退しました。それでも、1591年には徳川家康から社領の寄進を受けて復興の道を歩むことができました。

近代と現代の比々多神社

明治時代に入ると、1873年には正式に郷社に認定され、16の村の総鎮守としての位置付けがなされました。その後、1908年には神饌幣帛供進神社に指定されるなど、時代を経て重要な神社として認識され続けています。

戦時中には、神社に付随していた梵鐘が金属資源回収のために失われましたが、1950年には新たに梵鐘が製作され、現在に至っています。また、1953年には郷土博物館が併設され、地域文化の発信基地となっています。

祭事と地域貢献

比々多神社では、年間を通して多くの祭事が行われています。例えば、5月5日に行われる国府祭では、地元の人々が活気に満ちた祭りを楽しみます。また、毎年の歳旦祭や祈年祭など、地域の人々にとって欠かせないイベントが多数存在しています。これらの祭事を通じて、地域の人々の絆が育まれています。

アクセス

比々多神社へのアクセスは、小田急小田原線の伊勢原駅からのバスが便利です。バス停から徒歩数分で到着し、周辺には地域の伝統や文化が色濃く残っています。神社の周辺は自然に囲まれており、訪れる人々にとって穏やかな時間を過ごすことができる場所となっています。

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