毛利元美

毛利元美：長州藩家老、激動の時代を生きた人物

毛利元美（もうり もとよし）は、文化8年（1811年）に生まれ、明治18年（1885年）に没した、長州藩一門家老である厚狭毛利家の10代当主です。父は毛利房晁、弟は毛利宣次郎親民。妻は毛利広鎮の娘で、毛利元徳の姉にあたる勅子。通称は本之助、能登。藩主・毛利斉元より偏諱を受け元美と名乗りました。また、元教（もとのり）という別名も伝わっています。主に毛利斉元の子である毛利敬親の時代に活動しました。

生涯

文化8年（1811年）、毛利房晁（房衆）の子として誕生。翌文化9年（1812年）に父が逼塞処分となり隠居したため、家督を相続します。幼少のため、叔父である毛利房謙、国司房長が後見を務めました。

天保14年（1843年）には、羽賀の台における軍事演習で一番備頭を務めます。文久3年（1862年）には赤間関海防総奉行に就任しますが、攘夷実行の際、外国船への砲撃をためらったことが咎められ、解任されました。元治元年（1864年）に藩内の俗論派が政権を掌握すると、加判役（家老）に就任。しかし、慶応元年（1865年）に藩内の革新派が政権を握ると職を追われ、知行地の厚狭で謹慎することとなります。

明治18年（1885年）に75歳で死去。実弟の親民（宣次郎）を養嫡子としていましたが、親民が先に亡くなったため、その子の英之輔が家督を相続し11代当主となりました。しかし、12代当主四一の2人の息子が太平洋戦争で戦死したため、その家系は絶えてしまいました。

妻・勅子の功績

特筆すべきは、妻である勅子の存在です。勅子は明治6年（1873年）に船木女児小学を設立し、校長を務めた教育者として知られています。激動の時代の中、教育を通して社会に貢献した勅子の功績は、後世に語り継がれるべきでしょう。

毛利元美は、長州藩の家老として、藩政に深く関わりながらも、時代の波に翻弄された人物でした。しかし、妻である勅子の教育者としての活動は、彼の人生に彩りを与え、その名を歴史に刻みました。

参考文献：「山陽町史」

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