毛利斉元

毛利斉元：長州藩11代藩主、その生涯と時代

毛利斉元（もうり なりもと）は、江戸時代後期の長州藩主であり、毛利氏の25代当主です。第7代藩主・毛利重就の六男である毛利親著の長男として生まれ、第10代藩主・毛利斉熙の養子となりました。

生涯

寛政6年（1794年）に萩城下で生まれた斉元は、享和3年（1803年）に福原房純の養嗣子となり、文化5年（1808年）には藩主・毛利斉房より偏諱を授かり福原房昌と名乗りました。当時は、藩主の兄弟を養子にできる家が限られていたため、斉元が藩主の弟の息子であったことが養子縁組を可能にしました。

文政2年（1819年）、藩主・毛利斉熙の実子である保三郎（後の毛利斉広）が幼かったため、斉元は福原家から毛利宗家に戻り、毛利教元と改名しました。同年9月には斉熙の養嗣子となり、四品に叙任され式部大輔に任じられます。その後、宮内大輔への転任、従四位・侍従への任官を経て、文政7年（1824年）に斉熙の隠居により家督を継承しました。

藩主となった斉元は、文政12年（1829年）に従四位・左近衛少将に任じられ、第11代将軍・徳川家斉からの偏諱を受け、斉元と改名しました。天保6年（1836年）には従四位上に叙任されましたが、翌年には養父・斉熙が死去。同年には「申歳の大水」と呼ばれる大洪水が萩を襲い、斉元の実子である猶之進（教明）らが住む南苑邸が大きな被害を受けました。斉元は斉熙を追うように天保7年（1836年）に43歳で亡くなり、跡を継いだ斉広も同年のうちに亡くなったため、実子の教明（後の慶親・敬親）が家督を継ぐこととなりました。

人物像

斉元は、父が部屋住みであったことや、自身も家臣の家から毛利宗家を継いだ経緯から、万事に控えめな性格であったとされています。そのため、藩の実権は養父である斉熙が握り続け、斉元は中継ぎの藩主としての役割に留まりました。

文化人としては、狂歌を好み鹿都部真顔に師事し、柳桜亭花也、柳花亭風姿瑞垣、土筆亭和気有丈などの狂名を用いていました。また、戯作者である山東京山の次女・京が侍女から側室となり、孝姫と甚之丞（早世）をもうけました。

系譜

父：毛利親著（1766年 - 1800年）
母：以久 - 心月院
養父：福原房純（1772年 - 1836年）、毛利斉熙（1784年 - 1836年）
正室：由美子 - 蓮容院、毛利斉熙娘
側室：原田氏、田代氏、山崎氏、京 - 山東京山娘
長男：毛利敬親（1819年 - 1871年） - 毛利斉広の養子

偏諱を受けた人物

毛利教元時代には、長男の毛利教明（後の毛利敬親）や息子の毛利教徳がおり、毛利斉元時代には、毛利元美（元教）や毛利元寿、毛利元亮など、多くの家臣や親族がその偏諱を受けました。

まとめ

毛利斉元は、激動の時代を生きた長州藩主であり、その生涯は藩政における中継ぎとしての役割と、文化人としての側面が特徴的でした。彼の時代は、後の幕末維新へと繋がる重要な時期であり、その足跡は今日でも語り継がれています。

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