毛利小平太

毛利小平太：赤穂事件における最後の脱盟者

毛利小平太（もうりこへいた）は、江戸時代前期に生きた赤穂藩浅野家家臣です。諱は元義（もとよし）。生没年は不明ですが、元禄13年（1700年）の「浅野家分限帳」には、大納戸役として20石5人扶持の記載があります。

小平太は、大石良雄による吉良義央への仇討ち計画に加わっていました。討ち入り計画遂行前、彼は木原武右衛門と名を変え、本所林町五丁目の堀部武庸の借家に身を潜めていました。元禄15年（1702年）11月14日作成の討ち入り手配書（寺井玄渓宛）には、裏門隊屋敷内突入部隊の一員として小平太の名が記されています。

しかし、討ち入り直前に小平太は脱盟します。大石良雄が11月29日付けで落合勝信に送った書状には、小平太を含む50名が忠死すると記されていますが、小平太は12月11日付けの書状で脱盟を表明し、姿をくらましました。討ち入りの計画書には小平太の名前が残されていますが、同時期に脱盟した矢野伊助や瀬尾孫左衛門の名前はないことから、大石らによる小平太の脱盟発覚は討ち入り直前だったと考えられています。このため、小平太は「最後の脱盟者」と呼ばれることが多いのです。

小平太の脱盟を受け、三村包常は急遽、表門隊から裏門隊への配置転換を余儀なくされました。脱盟の理由は諸説ありますが、大垣新田藩主・戸田氏成に仕えていた兄からの説得が影響したという説が有力です。

創作における毛利小平太

赤穂事件を題材とした数々のフィクション作品では、小平太の脱盟の経緯が様々に描かれています。

親族による説得: 例えば、日本テレビのドラマ『忠臣蔵』やNHK大河ドラマ『元禄繚乱』では、親族によって討ち入りへの参加を思いとどまらされるという描写が見られます。
愛する人との別れ: TBSのドラマ『女たちの忠臣蔵』では、同棲していた女性からの懇願によって討ち入りを諦めるという設定が用いられています。
討ち入り前の死: テレビ東京『大忠臣蔵』、テレビ朝日『忠臣蔵 CHUSHINGURA』、諸田玲子氏の小説『四十八人目の忠臣』などでは、討ち入りへ向かう途中で病死や戦死するなど、様々な運命が小平太に待ち受けています。
吉良上野介の暗殺: テレビ朝日『忠臣蔵異聞 生きていた吉良上野介』では、大石からの密命を受け、討ち入りを生き延びた吉良を一人で討つという、大胆な設定も存在します。

このように、創作において小平太は、赤穂事件における様々な解釈やドラマ性を生み出す重要な存在となっています。歴史的史実とフィクションの解釈の相違が、小平太という人物像をより複雑で興味深いものにしていると言えるでしょう。 小平太の脱盟の真意は今もなお謎に包まれていますが、その生涯は、赤穂事件における複雑な人間関係と、忠義の在り方について深く考えさせるものです。

もう一度検索