毛無山 (鳥取県・岡山県)

毛無山（けなしがせん、けなしやま）

毛無山は、鳥取県と岡山県にまたがる標高1218メートルの山で、中国山地の一部を形成しています。大山隠岐国立公園内に位置し、その豊かな自然環境が特徴です。山頂付近には三等三角点が設置されており、登山者にとって重要な目印となっています。

地理

毛無山は石英安山岩で構成された残丘であり、北東には金ヶ谷山、三平山、象山を経て伯耆大山へと続く稜線が連なっています。南には二子山、大倉山を経て道後山へとつながり、これらの山々を結ぶルートは登山愛好家に人気です。二子山との間には四十曲峠があり、国道181号が鳥取県日野町と岡山県新庄村を結んでいます。また、西側にも稜線が伸び、宝仏山、古峠山へと続いています。

山の北側斜面は急峻で、閃緑岩類が点在しています。山麓には日野川の支流である俣野川が流れ、中国電力管内では最大級の俣野川ダムによって猿飛湖が形成されています。山頂から西へ約500メートルの地点には鳥取県日野町との境界線があります。西斜面では古生代の黒色千枚岩が見られます。

岡山県側の南東山麓は、標高800メートルから1000メートルの平坦地が広がっており、一級水系である旭川の支流、新庄川の源流となっています。

地誌

遠くから見ると禿げ山のように見えることが名前の由来ですが、実際には山頂には低木が茂っています。かつては修験道の霊地であり、不動明王の石像が置かれています。

毛無山と東隣の白馬山を結ぶ稜線沿いにはカタクリの群生地があり、特に鳥取県側からの登山ルートでは「カタクリ広場」として親しまれています。この群生地では、晩春にカタクリの花が咲き乱れ、ブナの新緑とともに美しい景観を作り出します。この風景は、環境省の「かおり風景100選」に「毛無山ブナとカタクリの花」として選出されています。また、林野庁の「水源の森百選」にも「毛無山ブナ林」として選ばれており、豊かな森林資源も魅力です。これらの山林は、かつてたたら製鉄が行われていた場所であり、その後二次林が形成されました。近年では、岡山県による公有化が進められています。

登山ルート

毛無山には、岡山県側と鳥取県側の両方から登山道が整備されています。

岡山県側からは、村営の宿泊施設である「毛無山山の家」を拠点に登山を開始できます。ここから山頂までは約90分で到達でき、比較的初心者向けのコースとされています。

鳥取県側からは、県道113号から林道宝仏山線を経由して登山口にアクセスします。登山口からは、約50分で四合目の「ウド山」山頂にある展望台に到着します。そこから尾根伝いに進むと、八合目の「カタクリ広場」に到着し、毛無山と白馬山への分岐点があります。そこから約10分で毛無山の山頂（標高1218メートル）に到達します。

山頂からは、大山、蒜山、弓ヶ浜半島、さらには隠岐島まで見渡せる絶景が広がります。四季折々の美しい自然を満喫できる毛無山は、多くの登山者に愛されています。

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