毛糸

毛糸の基礎知識

毛糸とは、動物や植物、化学繊維などから作られた糸状の素材で、編み物などに用いられます。縫い糸よりも太く、手芸糸とも呼ばれています。織物や刺繍にも使用され、玉巻き、カセ、コーン巻きなどの形態で販売されています。製品には素材、太さ、針の号数、ゲージ、糸長、重量、色番、ロットナンバーなどの情報がラベルに記載されています。

素材による分類

天然繊維

動物繊維

[ウール]: 羊の種類によってメリノ、コリデール、シェトランドなどがあり、紡毛糸と梳毛糸に分類されます。紡毛糸は短い繊維を絡めて引き伸ばしたもので、柔らかく風合いが増します。梳毛糸は長い繊維を揃えて引き伸ばしたもので、滑らかで光沢があり高価です。
モヘヤ: アンゴラヤギの毛で、光沢があり柔らかく弾力性に富みます。キッドモヘヤは生後1年未満の仔ヤギの毛を使用します。
アルパカ: ウールより軽く保温性が高く、毛玉ができにくいのが特徴です。ベビーアルパカは特に柔らかな繊維を使用しています。ファカヤ種と希少なスーリー種があります。
カシミヤ: カシミヤヤギの毛で、柔らかく保温性が高いですが、耐久性はウールより劣ります。
アンゴラ: アンゴラウサギの毛で、非常に軽く保温性が高いですが、摩擦に弱く抜け毛が多いです。
ヤク: 柔らかく保温性と耐久性があります。繊維の大部分が茶色です。
シルク(絹): 毛糸ではスパンシルクが多く、軽くしなやかで光沢があります。摩擦に弱いですが、引張強度が高く、ウールやコットンと混紡されることが多いです。家蚕や野蚕の繭糸を使用します。

植物繊維

コットン(綿): 吸水性が高く肌触りが良いですが、やや重いです。繊維の長さがランクを決定します。
麻(リネン、ラミー): 吸水性と通気性に優れ、非常に丈夫です。ウールなどの耐久性向上に少量混紡されます。
ジュート: 繊維が短く毛羽が抜けやすいので、衣料には向きません。
和紙: 軽く丈夫で、服飾小物などに用いられます。

化学繊維

再生繊維

レーヨン: シルクのようなしなやかさと光沢を持ちます。パルプレーヨン、バンブーレーヨンなどがあります。

合成繊維

アクリル: ウールよりも安価で発色が良く、軽量ですが、保温性や吸水性は低く、毛玉ができやすいです。安価な「モヘア」はアクリル製が多いです。
ナイロン: 強度が高く、天然繊維の耐久性を高めるために混紡されます。
ポリエステル: ナイロンに次ぐ強度があり、熱にも強いですが、毛玉ができやすいです。

太さによる分類

日本と英語圏ではそれぞれ独自の分類があり、明確な規格はありません。日本は「極細」から「超極太」、英語圏は「Cobweb」から「Jumbo」までの分類があります。

形状による分類

単糸: 1本の糸を撚り上げたもの。抜けやすく、斜行しやすいです。
双糸: 2本の糸を撚り合わせたもので、最も一般的です。
三子糸: 3本の糸を撚り合わせたものです。4本以上のものは多子糸と呼ばれます。
撚りの強弱: 甘撚り糸と強撚糸があり、甘撚り糸はロービングヤーンとも呼ばれます。
撚り方向: S撚りとZ撚りがあります。複数の糸を撚り合わせる場合は、S撚りとZ撚りを組み合わせてバランスを取ります。

ストレートヤーンに類するもの

ストレートヤーン: 特に加工をしていないスムーズな毛糸。扱いやすく、編み目がはっきり出ますが、不揃いな編み目も目立ちます。
ツイードヤーン: ざっくりとした風合いが特徴です。
杢糸: 同じ太さの異なる色の単糸を撚り合わせたもの。
メランジ糸: 紡績段階で2色以上の糸を混ぜ合わせたもの。

ファンシーヤーン

形状や色に変化を持たせた糸です。

スラブヤーン: 太さに変化を持たせたもの。
ネップヤーン: 不規則に糸節(ネップ)があるもの。
ノットヤーン: 結び目(ノット)があるもの。
タムタムヤーン: 毛羽立たせたモヘア糸。
シャギーヤーン: 毛羽の毛足が長いもの。
ファーヤーン: 毛皮のような風合いのもの。
ブークレヤーン: 縮れたような飾り糸を撚り合わせたもの。
ループヤーン: 連続的にループさせた飾り糸を撚り合わせたもの。
モールヤーン: 短い毛羽を挟み込んだもの。
リリアンヤーン: リリヤン状に編み立てたもの。
テープヤーン: テープ状の平たいもの。

用途による分類

冬糸: 保温性の高い毛糸。
夏糸: 春夏物に適した毛糸。

明確な区別はありません。

染色方法による分類

トップ染め: 紡績前の繊維を染める方法。
糸染め: 紡績後の糸を染める方法。チーズ染めなどがあります。
カセ染め: カセの状態にして染める方法。
ロットナンバーは、同じ色番でもロットが違うと微妙に色味が異なるため、必ず記載されています。

段染め

漬け染め: 古くからある技法。
スペース・ダイイング: 金型で圧迫して仕切り、仕切りごとに異なる色の染料を吹き付ける。
* スプレー染め: 異なる色の噴霧器で染料をスプレーし、ローラーで圧縮する。

単色のものはソリッドと呼ばれます。

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