民主党 (韓国 2008-2011)

韓国民主党：進歩主義政党の軌跡

韓国の進歩主義政党、民主党は、2008年の統合民主党結成から2011年の民主統合党への合流まで、激動の時代を歩んできた。本稿では、その歴史、政治的立場、主要人物、そして党内外の様々な出来事を詳細に解説する。

結成と初期の苦難

2008年2月、盧武鉉政権与党であった大統合民主新党と民主党が統合し、統合民主党が誕生した。しかし、同年に行われた総選挙では首都圏を中心に議席を大幅に減らし、第2党に転落。盧武鉉政権を支えた中核メンバーの多くが落選するなど、党内は大きな打撃を受けた。その後、党名を「民主党」に変更、丁世均を代表に選出した。

再補選と地方選挙での躍進

総選挙後の再補選では、与党であるハンナラ党に勝利する事例が続出した。そして2010年6月の全国同時地方選挙では、広域団体長選挙、基礎団体長選挙、広域議会選挙全てでハンナラ党を上回り、第1党に躍進した。しかし、直後の国会議員再補選では勝利が限られ、丁世均代表以下党指導部は総辞職した。

首都圏出身者の台頭

2010年10月に行われた党執行部選挙では、ハンナラ党出身の孫鶴圭が新代表に選出された。また、2011年5月には、首都圏出身の金振杓が院内代表に就任。これにより、従来の全羅道地方中心から、首都圏への影響力拡大が図られた。この人事は、2012年総選挙と大統領選挙に向けた戦略的な布石と考えられた。

ソウル市長補欠選挙と野党統合への動き

2011年10月に行われたソウル市長補欠選挙では、市民運動家の朴元淳が野党統一候補として当選した。しかし、民主党は党候補を擁立できず、党内では統合を模索する声が強まった。同時期、進歩・改革指向の野党統合に向けた動きが活発化し、孫代表は民主労働党など他野党への大統合を呼びかけた。

統合の困難と民主統合党の誕生

野党統合の過程では、統合方法、主導権、党執行部選出方法などを巡って、民主党内や他野党との間で激しい対立が繰り広げられた。しかし、紆余曲折を経て、2011年12月16日、民主党と市民統合党は合流し、「民主統合党」が誕生した。党代表選出方法では、国民参加型予備選挙を採用、代議員30％、党員・市民70％の比率で選出することとなった。

政治的立場と思想

民主党は、当初「中道改革」を掲げていたが、2010年10月の党大会でこれを削除し、進歩主義的色彩を強めた。新しい綱領では、「人中心の市場経済」、「普遍的福祉」を強調、社会の二極化解消と福祉政策強化を掲げた。具体的には、無償給食、無償保育、無償教育、大学授業料半額支援などを推進する「普遍的福祉」を提唱したが、財源問題などで批判を受けた。

韓米FTAへの対応

与党時代には推進した韓米FTAだが、民主党は投資者国家訴訟制度（ISD）を問題視し、批准に反対した。党内には、FTA反対に反対する意見もあったが、結局批准は強行された。

党内派閥と親盧派

民主党内には、旧ウリ党系、旧民主党系、ハンナラ党からの離党組など、様々な政治的立場の勢力が混在していた。盧武鉉前大統領に近い「親盧派」との関係は複雑で、初期は距離を置いていたが、盧大統領の逝去後は「盧武鉉精神の継承」を前面に出し、親盧派を取り込んだ。

まとめ

民主党は、金大中、盧武鉉政権の流れを汲む進歩主義政党として、韓国政治において重要な役割を果たしてきた。しかし、その歴史は、選挙での浮沈、党内抗争、野党統合の困難など、数々の試練と変化に満ちたものだった。2011年の民主統合党への統合は、新たな出発点であり、今後の韓国政治においても、その動向が注目される。

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