民主労働党 (韓国 2012)

韓国の政党である民主労働党（みんしゅろうどうとう、韓国語: 민주노동당）は、その起源を2012年に発足した進歩正義党に遡ります。この政党は、韓国の進歩政治において重要な役割を担ってきました。現在の「民主労働党」という名称は、2025年に変更される予定のものですが、その前身である正義党や進歩正義党を含め、一貫して社会民主主義的な理念を追求しています。

設立の背景と進歩正義党の誕生

党の設立は、2012年に表面化した統合進歩党の比例代表候補選出における不正事件と、それに続く激しい党内対立が直接的な契機となりました。この混乱を経て、魯会燦や沈相奵といった革新派の主要人物が統合進歩党を離脱し、新たな進歩勢力の結集を目指す動きが始まりました。彼らを中心に発足した「進歩政治革新の会」は、後に「新しい進歩政党推進会議」へと発展し、柳時敏らの旧国民参与党勢力なども加わる形で新党結成を推進しました。様々な党名案が検討された結果、「進歩正義党」として創党準備が進められ、2012年10月21日に結党大会を開催、同月31日には正式に政党登録を完了しました。

進歩正義党から正義党へ

進歩正義党は結党後、直ちに行われる第18代大統領選挙に向けて沈相奵を候補者として選出しましたが、最終的には民主統合党の文在寅候補支持を表明して立候補を辞退し、政策連合での協力を選択しました。しかし、党勢拡大は容易ではなく、魯会燦共同代表の議員職喪失や姜東遠議員の離党などもあり、国会議席数は減少。一時は国会第4党に後退する状況となりました。

こうした苦境の中、党は再生を図ります。2013年6月の革新党大会では、過去の反省を踏まえた「7大対国民約束」を採択し、党の刷新を誓いました。特に、統合進歩党問題で露呈した旧態依然とした体質や、北朝鮮に対する姿勢、労働運動との関係性の見直しが盛り込まれました。この大会を経て、2013年7月21日には党名を「正義党」へと改称。盧武鉉政権で大統領府報道官を務めた千皓宣が新たな党代表に選ばれ、党の新たなスタートを切りました。

選挙での模索と党勢拡大

正義党としての活動が始まってからも、党は模索を続けました。2014年の第6回全国同時地方選挙では、野党勢力の分裂を避けるため主要な広域自治体首長選挙で候補者を擁立しないなどの戦略を取りましたが、芳しい結果には繋がりませんでした。同年7月に行われた国会議員再補選でも、野党一本化の努力も虚しく、当選者を出すことはできませんでした。

状況が変化したのは2015年以降です。同年7月には沈相奵が党代表に就任し、同年11月には国民の集いや進歩結集プラスといった他の進歩勢力との統合を成功させ、「統合政党としての正義党」が再出発しました。これにより党勢はじわじわと拡大します。2016年の第20代総選挙では、地域区で魯会燦と沈相奵が当選したほか、比例代表でも議席を獲得し、合計6議席を確保しました。続く2017年の第19代大統領選挙では、党公認候補の沈相奵が過去の進歩政党候補を大きく上回る6%台の得票率を獲得し、党の存在感を強く示しました。2018年の第7回全国同時地方選挙では、広域自治体議員比例代表選挙で8.97%の得票率を得て第3党に躍進。広域議員11名、基礎議員26名が当選するなど、地方での基盤も強化しました。2020年の第21代総選挙でも6議席を維持し、国会における主要政党の一つとしての地位を固めました。

最近の動向と名称の変遷

2024年の第22代総選挙を前に、正義党は緑色党との選挙連合を形成するため、一時的に「緑色正義党」へと党名を変更しました。しかし、総選挙では議席を獲得することができず、選挙後に再び「正義党」へと名称を戻しました。そして、2025年5月5日、第21代大統領選挙を控える中で、党名を「民主労働党」へと変更する運びとなりました。

党は「韓国型社会民主主義」の実現を目標に掲げ、労働者の権利向上や社会的公正の実現などを訴えています。シンボルカラーは正義党となった当初は進歩正義党時代の紫朱色と緑が使われましたが、2014年1月からは黄色に変更されました。

政党活動以外では、2018年に広報動画でアニメ作品の盗用が発覚し、謝罪する出来事がありました。対日関係においては、徴用工問題に関する日本の国会議員の発言に対し、「醜態、非常識」と強く批判するなど、時に厳しい姿勢を示しています。LGBTの社会運動や、台湾の時代力量、韓国最大規模の労働組合である全国民主労働組合総連盟などとも関係を持っています。

紆余曲折を経て現在の形に至った民主労働党は、韓国社会における進歩勢力の一角として、その理念の実現を目指し活動を続けています。

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