民衆党 (韓国 1965-1967)

韓国の保守政党、民衆党：激動の軌跡

1960年代の韓国で存在した民衆党は、保守勢力の統合から生まれた政党でした。第三共和国時代の韓国政治において、重要な役割を果たしたものの、その歴史は党内対立と分裂、そして再統合という波乱に満ちたものでした。

結党と日韓基本条約反対運動

1965年5月3日、当時の最大野党・民政党と第二野党・民主党が統合し、民衆党が誕生しました。朴順天氏が党首に就任。しかし、結党直後から、日韓基本条約とベトナム戦争への韓国軍派兵をめぐって党内は激しく対立します。

党内には、基本条約に強く反対する強硬派と、院内闘争を重視する穏健派がいました。強硬派の中心は、旧民政党系の尹潽善氏で、議員辞職や党解散も辞さない強硬姿勢を示しました。一方、穏健派の中心は、旧民主党系の朴順天氏と柳珍山氏で、国会での闘争を重視する立場をとりました。この対立は、党運営を大きく阻害することになります。

基本条約調印と党分裂

日韓基本条約が1965年6月22日に調印されると、民衆党内での対立はさらに激化します。8月12日、61名の民衆党国会議員が、基本条約調印に抗議して議員辞職届を提出しました。しかし、与党である民主共和党は、基本条約批准案を8月14日に単独採決で可決。10月14日には、多くの民衆党議員が国会に復帰しました。

しかし、尹潽善氏など強硬派は、この決定に反発し、民衆党を脱党。翌1966年3月30日、新韓党を結成しました。わずか10ヶ月で野党が分裂するという事態が発生しました。

大統領選挙と再統合

1967年5月に行われた第6代大統領選挙では、民衆党は兪鎮午氏を、新韓党は尹潽善氏を大統領候補として擁立しました。しかし、野党勢力の統一を図る動きが強まり、野党候補の一本化、ひいては野党統合が模索されます。その結果、1967年2月、民衆党と新韓党は合流し、新民党を結成しました。民衆党は、その短い歴史の中で、激しい党内闘争と分裂、そして再統合という劇的な変化を経験したのです。

民衆党の意義

民衆党は、第三共和国時代の韓国政治において、重要な役割を果たしました。日韓基本条約に対する反対運動の中心となり、国民の意見を代弁する役割を果たしたと同時に、党内対立という、韓国政治特有の課題も露呈させました。その歴史は、韓国現代政治史を理解する上で欠かせない要素となっています。 また、民衆党の盛衰は、韓国の民主主義発展における複雑な過程を示す一つの事例として、現代政治学においても重要な研究対象となっています。 日韓関係史、特に基本条約締結をめぐる政治的駆け引きを理解する上で、民衆党の活動は重要な視点を提供しています。 現代韓国の政党政治を考える上でも、民衆党の経験は示唆に富むものです。

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