水俣城

水俣城は、現在の熊本県水俣市古城に位置していた中世の日本の城です。この城は、水俣市の中心部にある標高約30メートルの独立した丘陵に築かれており、城域は古城と高城の二つに分かれていました。

本城にあたる古城からは、石垣や瓦の破片が発見されていますが、南東に続く高城では遺構の確認はされていません。1978年には、水俣市によって城跡に運動公園が建設される際、地下から石垣が発見されました。

水俣城の歴史は、水俣を本拠地として葦北郡を治めていた水俣氏が城主であった時代に遡ります。1385年には、今川了俊の書状にその名が記されており、これが当城に関する最も古い記録です。その後、本郷氏が城主となり、南北朝時代には葦北に進出を図っていた相良氏が1460年に水俣を支配下に置きました。1524年には、相良長定が幼い相良長祗を人吉から追い出し、長祗は水俣城の裏山で自害するという悲劇も起きました。

1557年に水俣城主の上村頼興が亡くなると、息子の頼孝らは相良義陽に対して反乱を起こしました。頼孝は水俣城を与えるという条件で帰参しましたが、後に義陽によって謀殺されました。1559年には、頼孝の反乱に関与していた菱刈氏によって水俣城は落城しますが、翌年には天草の上津浦氏の仲介により、相良氏が水俣内の12の屋敷を菱刈氏に割譲することで、城は再び相良氏の手に戻りました。

天正年間に入ると、隣接する島津義弘との対立が激化し、水俣城は海陸からの攻撃を受けるようになりました。1581年には、島津勢が水俣城を包囲し、城主の犬童頼安が籠城しましたが、相良義陽は葦北郡を島津氏に割譲して降伏し、水俣城から撤退しました。島津氏は古墻大炊大夫を地頭として水俣城に配置しました。

その後、九州征伐によって葦北郡は豊臣秀吉の直轄領となり、1587年には深水長智が水俣城と津奈木城の城代に任命されました。その後、相良氏や寺沢広高が城代を務め、1598年には寺沢領となりました。翌年には小西行長、さらに1600年には加藤清正の領地となりました。清正は中村正師を城代に任命しましたが、1612年に江戸幕府の命により、水俣城は宇土城や愛藤寺城とともに破却されました。

水俣城は、その歴史の中で多くの戦乱に巻き込まれ、様々な勢力の支配下を転々としましたが、その場所は地域の歴史を語る上で重要な役割を果たしました。現在では、城跡は運動公園として整備されており、かつての面影を偲ぶことは難しいですが、その歴史的価値は今もなお失われていません。

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