水天

水天

水天（すいてん）は、仏教における天部の一尊であり、須弥山の西に住むとされています。十二天の一柱として知られています。

神格

水天は水の神であり、竜を支配するとされています。その起源は、インド＝イランの古いアスラ族の神であるヴァルナに遡ります。

ヴァルナ

ヴェーダにおいては、ヴァルナは非常に重要な神として位置づけられ、天空神、司法神（契約と正義の神）、水神としての属性を持っていました。ヴァルナは西方ではアフラ・マズダーとなり、ゾロアスター教の最高神となりました。

しかし、東方ではブラフマー（梵天）に始源神としての地位を奪われ、その後は死者を裁くヤマ神に司法神としての地位を奪われ、水神としての属性のみが残りました。仏教に取り入れられた際、十二天の一つとして、西方を守護する「水天」となりました。

真言

水天の真言は以下の通りです。

`oṃ varuṇāya svāhā`

`オン バロダヤ ソワカ`

日本における水天

日本では、神仏習合の時代に「水」の字の繋がりから、「天之水分神・国之水分神」（あめのみくまりのかみ・くにのみくまりのかみ）と習合しました。水分神は本来、子供とは関係がなかったと考えられますが、「みくまり」の発音が「みこもり」（御子守り）に通じることから、水天は安産・子育ての神、子供の守り神として信仰されるようになりました。

神仏分離の際、ヴァルナ神の元々の神格が最高神・始源神であることから、記紀神話における始源神である天御中主神に当たると解釈され、水天を祀る水天宮の祭神は天御中主神に変えられました。また、安徳天皇が在位のまま入水したことから水天皇と呼ばれ、水天と同一視されるようになりました。

竜から転じて、地方や寺院によっては蛇が水天の象徴として扱われることがあります。

国宝

京都国立博物館には、仏画（絹本著色144.3 x 126.5cm）の水天像が所蔵されています。この作品は平安時代以来、宮中の真言院で毎年正月に行われた修法に用いるため、1127年（大治2年）に制作された十二天画像の一つです。

脚注

（記述なし）

参考文献

（記述なし）

関連項目

仏の一覧
アーディティヤ神群
ミスラ
水神

もう一度検索