水天宮 (東京都中央区)

水天宮：安産祈願で名高い、現代と伝統が融合する都市型神社

東京都中央区日本橋蛎殻町に位置する水天宮は、安産祈願で広く知られる神社です。福岡県久留米市にある久留米水天宮の分社として、長い歴史と多くの参拝者によって支えられています。地下鉄水天宮前駅と直結しており、アクセスも抜群です。

近代的な設備と伝統美の調和

境内は、近代的な設備と伝統的な社殿が見事に調和した空間です。地上1階は全天候型の駐車場となっており、一見すると神社らしさは感じられませんが、その上にそびえ立つ白木造りの社殿は、コンクリート製の土台の上に建っているため、独特の高さを感じさせます。社殿正面には、重厚感のある六階建てのビルが建ち並び、中央階段を上がると、提灯が灯る参道を通って境内へと至ります。

敷地面積はそれほど広くありませんが、免震構造を採用するなど、現代的な防災設備も完備されています。これは、都市部における神社建築の新たなモデルケースと言えるでしょう。

由緒と歴史：江戸時代からの信仰と変遷

水天宮の歴史は古く、久留米藩主有馬家によって崇敬されてきました。江戸時代初期、9代藩主有馬頼徳が江戸三田の藩邸に分霊を勧請したことが、現在の水天宮の始まりです。当初は藩邸内のため一般の参拝は難しかったものの、多くの信仰者の願いを受け、幕府の許可を得て、毎月5日に一般開放されるようになりました。「情け有馬の水天宮」という地口が生まれるほど、人々の信仰を集めました。

有馬家の会計記録には「水天宮金」という項目があり、賽銭や御札の売上は年間2000両に達したとされています。これは、財政難に苦しんでいた久留米藩にとって貴重な収入源となりました。

明治時代には有馬家屋敷の移転に伴い、赤坂を経て現在の地に移転しました。2013年から2016年にかけては、江戸鎮座200年記念事業として社殿の建て替えが行われ、その間は仮宮が設けられました。新社殿は最新の設備が導入され、社務所や待合室は現代的なデザインとなっています。境内全体が免震構造であることも特筆すべき点です。この御造替事業は、2016年度グッドデザイン賞および2020年日本建設業連合会主催の第61回BCS賞を受賞しています。

現在も、宮司は有馬家の当主が務めており、有馬家との深い繋がりは現在も続いています。

祭神と御利益

水天宮の祭神は、天御中主神、安徳天皇、高倉平中宮（建礼門院、平徳子）、二位の尼（平時子）です。江戸時代より安産・子授けの神として信仰を集め、「おすいてんさま」として親しまれています。現在も、安産祈願や子授け祈願、無事出産のお礼参りに多くの参拝者が訪れます。

境内外社と祭事

境内には、寳生辨財天（市杵島姫神社）、火風神社、秋葉神社、高尾神社、安産子育河童など複数の摂社・末社が祀られています。祭事としては、初水天宮、節分祭、例大祭など、年間を通して様々な祭事が執り行われています。例大祭は5月5日、縁日は毎月5日です。

アクセス

水天宮へのアクセスは非常に便利です。東京メトロ半蔵門線水天宮前駅5番出口より徒歩1分、また、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅からも徒歩圏内です。バス路線も充実しています。

まとめ

水天宮は、歴史と伝統、そして現代的な設備が融合した、魅力的な神社です。安産祈願はもちろん、静かな境内での散策もおすすめです。東京の中心部で、日本の伝統文化と現代社会の調和を感じることができる場所と言えるでしょう。

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