水戸黄門 (ブラザー劇場)

1964～65年版『水戸黄門』：時代劇テレビドラマの軌跡

1964年11月2日から1965年12月27日にかけて、TBS系列の『ブラザー劇場』枠で放送された時代劇『水戸黄門』。全61話というボリュームで、当時の人々を魅了した作品です。本作品はモノクロ放送で、1話30分の構成でした。

制作体制の変化

特筆すべき点は、製作会社が途中で変更されたことです。当初は東伸テレビ映画が製作を担当していましたが、第50話までで同社が倒産。その後、松竹テレビ室が製作を引き継ぎ、残りのエピソードを完成させました。このような制作過程の変化は、作品の歴史において特筆すべき点と言えるでしょう。

豪華キャストとスタッフ陣

主演を務めたのは、東映版『水戸黄門』で14作品に主演したベテラン俳優、月形龍之介。その存在感あふれる演技は、作品全体を支える重要な柱となりました。脇を固めるキャストも実力派揃い。石濱朗、関真太郎、遠藤辰雄、清川虹子、坂本九など、個性豊かな俳優陣が物語に彩りを添えています。監督には松田定次、加戸敏、松村昌浩といったベテラン監督が名を連ね、脚本は依田義賢が担当。主題歌は、国民的歌手である三波春夫が「水戸の黄門さま」と「水戸黄門旅日記」の両方を担当しました。オープニングとエンディングを彩る名曲も、作品の魅力を高める要素の一つと言えるでしょう。

放送と地域差

TBSをキー局として、新潟放送、北日本放送、北陸放送、福井放送、中部日本放送、四国放送など、多くの系列局で放送されました。放送時間は、キー局のTBSでは月曜19時30分から20時00分でしたが、系列局によっては放送日時が異なっていたようです。北日本放送では土曜18時05分から18時35分という、キー局とは異なる時間帯に放送されていました。これは、各系列局の番組編成事情によるものと考えられます。

『ナショナル劇場』版との繋がり

この1964～65年版『水戸黄門』と、後年長く続いた『ナショナル劇場』版『水戸黄門』の間には、興味深い繋がりがあります。月形龍之介は、『ナショナル劇場』版の第1部第19話にゲスト出演しています。また、本作品で主題歌を担当した三波春夫の実子である三波豊和は、『ナショナル劇場』版（第33部～第35部）でよろずやの千太役としてレギュラー出演しました。さらに、石濱朗は、この作品での殺陣について、「常に相手の刀を奪って行う演出だった」と証言しており、制作におけるこだわりを伺い知ることができます。

まとめ：時代を超える魅力

1964～65年版『水戸黄門』は、制作会社の変更や個性豊かなキャスト、スタッフ陣、そして『ナショナル劇場』版との繋がりなど、多くの見どころを持つ作品です。モノクロながらも、時代劇の王道を行くストーリーと、俳優たちの熱演によって、多くの視聴者を魅了したことは間違いありません。本作品は、日本のテレビドラマ史において重要な位置を占める作品として、今後も語り継がれていくでしょう。 時代劇ファンのみならず、日本のテレビ史に興味のある人にとって、貴重な資料と言えるでしょう。

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