水沢江刺駅

水沢江刺駅について

水沢江刺駅は、岩手県奥州市水沢羽田町に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）東北新幹線の駅です。新幹線の開通当初は未設置でしたが、地元住民の熱心な運動と都市計画によって、後から設置されました。駅周辺は、水田が広がる地域にあり、駅名には隣接する旧江刺市の名前も含まれています。

歴史

開業までの道のり

東北新幹線の建設計画が持ち上がった当初から、地元では駅設置を求める運動が活発に行われました。住民運動、都市計画、土地買収が進められ、国鉄への請願が重ねられました。1982年には新駅設置の基本要件が決定し、1983年1月には具体的な設置条件が示されました。この条件は、駅の建設費約50億円を地元が負担すること、用地を無償譲渡すること、将来の拡張を見据えた用地確保と無償譲渡、駅前広場と関連道路の整備でした。

水沢市はこれらの条件を了承し、全国新幹線鉄道整備法の改正により、自治体による国鉄への寄付が可能となったことから、駅の整備が本格的に始まりました。1983年11月には駅設置が承認され、国鉄と水沢市の間で基本協定が締結、1984年1月には工事が着工しました。

駅の構造は、当初から将来の拡張を想定した設計がなされていました。1985年2月には工事が完了し、3月14日に東北新幹線の上野 - 大宮間開業と同時に駅が開設されました。当初は2面2線の構造でしたが、後にホームが延長され16両編成に対応できるようになりました。工事費は当初の想定よりも縮減され、地元負担は岩手県からの補助金や住民からの協力金などで賄われました。

ホーム延長

1991年3月の東北新幹線東京駅乗り入れに向けた輸送量増強計画により、16両編成の200系車両が導入されることになり、水沢江刺駅のホーム延長が必要となりました。駅の整備計画時点で16両編成と2面4線化に対応できる用地は確保されていました。

当初、工事費の地元負担が懸念されましたが、用地は市が無償提供し、工事費はJR側が全額負担することで合意しました。1990年6月には、2階建て車両を組み込んだ13両編成の列車が登場し、一部の車両がホームからはみ出す措置がとられました。その後、1991年3月にはホーム延長工事が完了し、16両編成に対応できるようになりました。

しかし、延長されたホームには屋根がなく、地元自治体とJRの間で屋根の設置に関する協議が行われました。最終的には、ホーム部分にのみ屋根を掛ける半覆い式とし、費用もJRと地元で折半することで合意しました。屋根は1992年2月に完成しました。

駅名決定までの騒動

駅名は当初「新水沢駅」になる予定でしたが、着工決定後、水沢市と隣接する江刺市が駅名に「江刺」を含めるよう主張し、騒動に発展しました。両市がそれぞれの案を要望し、岩手県知事が「水沢江刺」が望ましいと国鉄に伝えたことで、最終的にこの駅名に落ち着きました。

年表

1984年1月10日：着工
1985年2月12日：工事完了
1985年3月14日：開業
1987年4月1日：国鉄分割民営化によりJR東日本の駅になる
1991年3月8日：16両対応にプラットホーム延長工事完成
1992年2月：延長されたプラットホームの部分に上屋が完成
1997年3月22日：速達型「やまびこ」の停車を開始
1999年5月18日：自動改札機を設置し、供用を開始
2007年11月：駅前に後藤新平像を設置
2018年1月15日：ホーム待合室の新設が発表
2018年3月16日：ホーム待合室が完成、同年21日より使用を開始
2020年3月14日：新幹線eチケットサービス開始
2020年10月1日：発車メロディを「君は天然色」に変更
2021年3月13日：タッチでGo!新幹線のサービスを開始
2024年1月31日：みどりの窓口の営業を終了
2024年2月1日：話せる指定席券売機を導入
* 2024年10月1日：えきねっとQチケのサービスを開始

発車メロディ

2020年10月1日に、発車メロディが大瀧詠一の代表曲である「君は天然色」に変更されました。この変更は、地元住民団体が中心となって行われた署名活動や、奥州市の協力によって実現しました。

駅構造

相対式ホーム2面2線を有する高架駅で、17両編成に対応しています。可動式安全柵が設置されており、直営駅（駅長配置）で、自動改札機や指定席券売機などが設置されています。駅舎は、水沢地方の景観をモチーフにしたデザインで、瓦屋根と白壁が特徴です。コンコースには、地元の鋳物製品が使用されています。2011年には、バリアフリー化のため、エレベーターが設置されました。

駅構内には、南岩手交流プラザがあり、観光物産品が展示されています。また、2020年10月には、大瀧詠一に関する資料展示コーナーが設けられました。

駅周辺

駅周辺には、商業施設や飲食店が少なく、ビジネスホテルなどの宿泊施設もありません。駅利用者の多くは、自家用車やレンタカー、タクシー、路線バスなどでアクセスしています。駅前には無料駐車場が整備されています。駅の近くには、後藤新平像や奥州市伝統産業会館（奥州南部鉄器館）があります。

隣の駅

東北新幹線：一ノ関駅 - 水沢江刺駅 - 北上駅

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