水準点

水準点とは

水準点（benchmark）とは、水準測量において標高の基準となる点のことで、測量法で定められた測量標の一つです。永久標識に分類され、主に国土地理院が設置・管理する「～等水準点」と、地方公共団体が設置・管理する「～級水準点」の二種類があります。また、海の潮位や河川の水位を測る水準基標や水準拠標も水準点と呼ばれることがあります。

この水準点の概念が転じて、コンピュータの性能を測る指標である「ベンチマーク」という言葉が使われるようになりました。

水準点の概要

国土地理院が設置・管理する水準点は、主に国道や旧国道、主要街道沿いに約2キロメートル間隔で埋設されており、基準となる柱石や金属標が設置されています。これらの水準点は、基準水準点、一等水準点、二等水準点、三等水準点を合わせて約2万2000点に及びます。

これらの水準点を辿る形で水準測量が行われ、この路線網を水準網と呼びます。しかし、交通量の多い道路脇に設置されていることが多いため、工事や事故により柱石が破損するケースも少なくありません。そのため、都市部の道路脇に設置された水準点は、半地下式の金属標識に改造される例が増えています。

水準原点

すべての水準測量の基準となる日本水準原点は、東京都千代田区永田町の国会前庭洋式庭園内に設置されています。東京湾平均海面上24.3900メートルを原点数値として、測量法施行令第2条第2項で定められています。この場所は、かつて参謀本部陸地測量部（国土地理院の前身の一つ）があった場所です。

基準水準点

日本水準原点の次に重要な水準点を「基準水準点」と呼びます。全国に88ヶ所設置されましたが、そのうち2箇所は樺太に設置されたものです。現在、樺太の領有権は放棄されているため、日本の基準水準点は86ヶ所となっています。

基準水準点は、一等水準点網から少し離れた地盤の強固な山や丘陵地に設置されることが多く、道路拡張工事による移転を防ぐため、設置場所も道路から少し離れた林や公園の中などにあります。

基準水準点は、万が一の破損に備え、柱石だけでなく、すぐ横の地中にも石とクロム金属製の標識の、計3つの標識が設置されています。さらに柱石と地中標の蓋は柵で囲まれています。これらの基準水準点は、水準点網の再測量の基準点となります。

国土地理院における設置・管理体制

水準点の設置・管理は、太平洋戦争以前は主に陸地測量部が、現在は国土地理院が行っています。明治初期には、内務省地理寮（国土地理院の前身の一つ）が高低測量の標識様式を定め、全国の地図作成の基礎とするため、各地に測量標（几号水準点）を設置しました。これらの几号水準点の一部は現在も残存していますが、現行の水準点としては機能していません。

国土地理院は、一定期間ごとに水準網の再測量を行い、精度を維持しています。水準点の柱石には小豆島産の花崗岩を使用しており、石の頂部には半球状の突起があります。この突起の上に標尺を置き、水準儀を用いて測量を行います。

水準点の柱石を破壊するなど機能を損なう行為は、測量法により2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。

水準測量

水準測量とは、水準点をもとに高低差を測定する測量のことです。水準儀や標尺を用いて、正確な高低差を測定します。この測量の結果に基づき、地形図の作成や各種建設工事が行われます。

水準基標測量

河川測量では、水準基標測量という、河川定期縦断測量の基準となる水準基標の標高を定める作業があります。水準基標測量は、2級水準測量によって行われます。水準基標の設置間隔は5キロメートル以上20キロメートル以下が標準とされており、測量後には水準基標の位置を示す点の記が作成されます。

水準基標は、河川の水位や流量を観測している場所に近接した、堤内地や地盤の強固な場所、または橋台などに設置されます。こうして設置された水準基標は、河川の縦断や横断など、高さに関する測量の基準となります。

河道改修計画基礎資料の[標高]]は、日本では土地と同じく東京湾平均[[海面]を標準としていますが、日本各地の水系には固有の基準も存在します。

外部リンク

国土地理院の基準点成果等閲覧サービス
基準点設置点数一覧表 (PDF)
* “戦後の水準点標石”. 上西勝也：史跡と標石で辿る日本の測量史

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