水澤寺

水澤寺（みずさわでら）

群馬県渋川市に鎮まる水澤寺は天台宗に属する寺院で、五徳山の山号を持ち、無量壽院という院号を冠しています。本尊として祀られているのは十一面千手観世音菩薩であり、坂東三十三観音の第16番札所としても知られています。寺の本尊には特有の真言「おん ばざら たらま きりく そわか」があり、訪れる信者や観光客に敬われています。また、寺を詠んだ「たのみくる心も清き水沢の 深き願いをうるぞうれしき」というご詠歌は、この場所の神聖さと人々の深い信仰を表しています。

歴史

水澤寺の正確な創建時期は明らかではありませんが、飛鳥時代、上野国の国司であった高光によって設立されたと伝えられています。南北朝時代に書かれた『神道集』には、高光の未亡人である伊香保姫がこの寺に千手観音を祀り、亡き夫の菩提を弔ったことが記されています。それ以降、この寺は地域の人々から厚く信仰される場所となります。明暦4年（1658年）に亡くなった尊秀法印が中興の祖とされ、さらに慶安2年（1649年）には江戸幕府から朱印状を受け、寺院の地位が確立しました。

境内と文化財

水澤寺の境内には、いくつかの重要な文化財が存在します。特に本堂（観音堂）は群馬県指定の重要文化財に指定されています。また、六角二重塔（輪蔵）も県指定の重要文化財として知られ、1775年から1787年にかけて建設されました。この塔には六地蔵と大日如来が安置されています。

さらに、仁王門、鐘楼、納札堂（不動明王が安置）、釈迦堂など、さまざまな建物が配置されており、それぞれが特有の精神性を持っています。近年の1994年から1997年には大修復が行われ、仁王門や本堂に安置されていた重要な仏像も移転され、文化財としての役割を強化しています。

また、群馬県内には六角二重塔、仁王門、観音堂といった文化財に加え、渋川市指定の阿弥陀如来像や木造十一面観音立像、水沢の観音杉といった天然記念物も存在し、地域の文化的価値が高まっています。

アクセス情報

水澤寺へは、高崎駅の西口から出る群馬バスの伊香保温泉行きを利用し、「水沢観音」停留所で下車すると、寺までは徒歩でわずか1分ほどです。観光スポットとしても非常にアクセスしやすく、多くの訪問者を迎え入れています。

坂東三十三観音の札所

水澤寺は坂東三十三観音の第16番札所であり、その位置は前後の札所である長谷寺（15番、群馬県高崎市）と満願寺（17番、栃木県栃木市）との間にあります。このように、長い歴史とともに人々に信仰され続けた水澤寺は、地域文化の一端を担い続けています。

水澤寺はその美しい景観と深い歴史、信仰心が息づく場所として、訪れる人々を魅了し続けています。

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