水野忠幹 (松本藩主)

水野忠幹（みずの ただもと）

水野忠幹は、元禄12年（1699年）に生まれ、享保8年（1723年）に24歳の若さで亡くなった、江戸時代中期の武将であり、信濃国松本藩の第5代藩主です。沼津藩水野家5代にも数えられます。父は先代藩主の水野忠周、母は前田利明の娘です。

生涯

幼名は惣兵衛、初名は忠茂といいました。宝永6年（1709年）に6代将軍徳川家宣に拝謁し、正徳3年（1713年）には従五位下・日向守に叙任されました。享保3年（1718年）に父・忠周が亡くなったため、家督を継いで松本藩の藩主となりました。

「松本御代記」によれば、忠幹は美男子で、思いやり深く、才知にも優れていたと伝えられています。歌道をはじめとする諸芸にも通じていた文化人でもありました。藩主としては、財政再建に力を注ぎ、目安箱を設けて家臣からの意見を募り、人事改革を行うなどの改革を行いました。その結果、藩の財政は1年で1000両の黒字を達成したといいます。また、家督を相続した際には領内の全百姓に籾1500俵を分け与え、享保7年（1722年）には地誌『信府統記』の編纂を命じました。

享保5年（1720年）には幕命により日光東照宮に代参し、享保8年（1723年）には方角火消に任じられました。しかし、同年、後継者を残すことなく、江戸田安邸にて病没しました。その早すぎる死は惜しまれ、その英明さから大いに期待されていた人物でした。

後を継いだのは弟の水野忠恒でした。

系譜

父: 水野忠周
母: 前田利明の娘
正室: 浅野綱長の娘
養子: 水野忠恒（実弟）

参考文献

* 福留真紀『名門水野家の復活 御曹司と婿養子が紡いだ100年』（新潮社〈新潮新書〉、2018年）

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