水野浩

水野浩：時代劇を彩った名脇役の生涯

水野浩（1899年4月23日 - 1970年3月22日）は、日本の俳優です。本名は水野浩一。青年期は舞台俳優として活躍した後、映画界へ転身。晩年まで脇役を演じ続け、数多くの作品で存在感を示しました。

舞台から映画へ：揺るぎない演技力

兵庫県神戸市生まれの水野は、兵庫県立兵庫高等学校の前身である旧制・兵庫県第二神戸中学校卒業後、演劇の道へ進みます。1915年、佐藤紅緑が設立した劇団「日本座」に参加し、その後も喜劇、歌劇、剣劇など様々な劇団で経験を積みました。30歳を迎えた1929年、京都の松竹下加茂撮影所に入社し、映画俳優としてのキャリアをスタートさせます。

その後、月形龍之介プロダクションや尾上菊太郎プロダクションへの所属も経験するものの、詳細は不明です。1934年頃には新興キネマに移籍し、『天保水滸伝』で映画デビューを果たしました。新興キネマ東京撮影所、京都撮影所を経て、時代劇を中心に活躍しました。1941年には日活京都撮影所に移籍、翌年には日活、新興キネマ、大都映画の合併により大映へ吸収されますが、水野はそのまま大映京都撮影所に所属し続けます。

老け役としての魅力：温かさ溢れる演技

第二次世界大戦後も大映で活躍した水野は、1948年、東横映画製作の『男を裁く女』や『のど自慢狂時代』に出演したことをきっかけに、1949年秋に東横映画に移籍します。1951年、東横映画が東映と合併した後は東映京都撮影所に所属し、50代以降は老け役を多く演じました。温厚な人柄がにじみ出る、親しみやすい庶民像を演じきり、観客の心を掴みました。茶店の老爺、人情味のある牢番、忠実な下僕など、数々の役柄で作品に深みを与えました。1960年代にはテレビドラマにも出演するなど、幅広い活躍を見せました。

膨大なフィルモグラフィー：時代劇黄金期の証人

水野浩のフィルモグラフィーは膨大です。新興キネマ、日活、大映、東横映画、そして東映と、時代劇黄金期を代表する多くの映画会社で活躍しました。ここでは、その一部を紹介します。

新興キネマ
『天保水滸伝』
『女心双情記』
『恩讐子守唄』
多くの時代劇、現代劇

日活京都撮影所、大映京都撮影所
『江戸最後の日』
『独眼龍政宗』
『無法松の一生』
多くの時代劇作品

東横映画、東映京都撮影所
『男を裁く女』
『満月三十石船』
『天兵童子』シリーズ
『新・平家物語』
* 多くの時代劇作品、現代劇

これらの作品以外にも、多数の映画、テレビドラマに出演しています。

温厚な人柄と確かな演技力：時代劇界に遺したもの

水野浩は70歳で亡くなりました。晩年の老け役は、温厚な人柄と、確かな演技力で多くの観客を魅了しました。その温かい人情味あふれる演技は、時代劇ファンたちの記憶に深く刻まれています。曾孫には、元アイドルで女優の水野ふえがいることも知られています。 彼の残した作品は、時代劇黄金期の貴重な記録であり、後世に語り継がれるべきものです。

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