水野遵

水野遵（みずの じゅん / たかし）

水野遵は、嘉永3年（1851年）に生まれ、明治33年（1900年）に没した日本の政治家、官僚です。彼は貴族院議員、衆議院書記官長、そして台湾総督府民政長官という要職を歴任し、明治期の日本政治に大きく貢献しました。幼名は恂造（じゅんぞう）、号は大路（たいろ）と称しました。

生い立ちと初期の経歴

水野遵は、愛知県で醤油屋を営む水野鼎斉（みずの ていさい）の息子として生まれました。明治2年（1869年）には駅逓司（えきていし）に付属する御雇いとなり、明治3年（1870年）には名古屋藩の史生（しせい）を務めました。明治4年（1871年）には清国（中国）へ留学し、海外の知識を吸収しました。帰国後の1873年には海軍省十等出仕となり、官僚としてのキャリアをスタートさせます。

1874年には台湾出兵に際し、台湾へ出張。1875年には文部省へ転じ、学務課雇いとして長崎英語学校長、文部省一等属を歴任し、教育分野でも活躍しました。

官僚としての活躍

1883年、水野は参事院に移り御用掛に就任。その後、同議官補、法制局参事官、同書記官、同参事官と、法制分野で重要な役割を果たしました。1891年には衆議院書記官に就任し、翌年には衆議院書記官長に昇進。議会運営の中枢を担いました。

台湾総督府での活動

1895年、日清戦争後の台湾統治のため、水野は弁理公使・大本営付として初代台湾総督の樺山資紀（かばやま すけのり）海軍大将に随行し、台湾に渡りました。彼は初代の台湾総督府民政局長心得、そして民政局長に就任し、台湾の民政を統括する重責を担いました。1897年に退任するまで、台湾の近代化に尽力しました。

晩年

1897年12月、水野は貴族院勅選議員に選任され、その職を亡くなるまで務めました。その他、台湾銀行創立委員、鉄道国有調査会委員なども歴任し、多方面で活躍しました。1900年6月15日に死去。墓所は雑司ヶ谷霊園にあります。

栄典

水野遵は、その功績により、以下の位階と勲章を授与されています。

1890年（明治23年）10月8日 - 従六位
1896年（明治29年）7月20日 - 従四位
1892年（明治25年）12月29日 - 勲四等瑞宝章
1896年（明治29年）3月31日 - 勲三等旭日中綬章

水野遵は、明治という激動の時代に、政治家、官僚として多岐にわたる分野で活躍し、日本の近代化に大きく貢献した人物です。特に、台湾統治初期における彼の功績は大きく、その名は歴史に刻まれています。

参考文献

秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。
上田正昭他『日本人名大辞典』講談社、2001年。
* 衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』1990年。

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