駅逓司

駅逓司（えきていし）とは

駅逓司は、慶応4年閏4月21日（1868年6月11日）に設置された、当時の交通通信（駅逓・郵便）を担当した官司です。この組織は、その後、大蔵省駅逓寮、農商務省駅逓局と名称を変えながら発展し、最終的には逓信省へと引き継がれ、今日の情報通信行政の基盤となりました。

沿革

駅逓司は、明治政府の基本方針を定めた政体書に基づき、会計官（七官の一つ）の下に設置されました。その翌年、明治2年には民部省へと移管され、事実上「大蔵民部省」の一翼を担うことになります。そして、明治4年3月1日（1871年4月20日）には、前島密や杉浦譲らによって郵便制度が開始されました。これは、日本の近代化において非常に重要な出来事でした。

明治4年には、民部省が廃止され大蔵省に統合されたことを受け、駅逓司も大蔵省駅逓寮へと昇格しました。1877年1月には、寮から局への制度移行に伴い、駅逓局と改称されました。郵便制度は、1875年1月に為替制度（郵便為替）、5月には貯金業務（郵便貯金）が導入され、その重要性をさらに高めていきました。また、幕藩体制下における助郷制度の廃止に伴う交通制度の改革も、駅逓司の重要な任務の一つでした。

しかし、駅逓司の管轄はその後、変遷を辿ります。1874年には大蔵省から分離した内務省へ、そして1881年には内務省から分離した農商務省へと移管されました。そして、1885年には駅逓局そのものが、新設された逓信省として独立することになったのです。

歴代の長

駅逓頭

濱口成則（濱口梧陵）：明治4年8月10日（1871年9月24日）- 明治4年8月17日
前島密：明治4年8月17日（1871年10月1日）- 1877年1月19日

駅逓局長

前島密：1877年1月19日 - 1880年2月28日

駅逓総官

（兼）前島密：1880年3月25日 - 1881年2月8日
野村靖：1881年2月8日 - 1885年12月28日

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典1868-2000』第2版、東京大学出版会、2007年。

関連項目

* 近代日本の官制

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