氷山のごとく

氷山のごとく

『氷山のごとく』は、1980年10月11日から1981年3月28日にかけて、フジテレビ系列で毎週土曜日の夜に放送された日本のテレビドラマです。放送枠は「ゴールデンドラマシリーズ」であり、全22話で構成されました。この作品は、当時「フジテレビ土曜22時枠番組」として知られたこの枠の最終作という位置づけでもあります。

概要

物語の舞台は1922年、大正時代末期。北海道小樽で育った少年・輪吉が主人公です。彼は家族の事情などで名古屋の繊維問屋へ丁稚奉公に出ることになります。ドラマでは、主人公の輪吉（志垣太郎）が、持ち前の鋭い才覚と不屈の根性を武器に、困難を乗り越えながら大商人へと成長していく過程を、商魂ドラマというジャンルで力強く描いています。

脚本と原作を担当したのは、その「根性もの」の作風で数々のヒット作を世に送り出してきた花登筐です。当時のテレビドラマ制作は東京中心のものが多かった中で、本作は名古屋を拠点とする東海テレビが制作を担いました。そのため、物語の主な舞台は名古屋であり、登場人物たちが話す名古屋弁もこのドラマの大きな特色の一つとして注目されました。視聴率の面では、第1話の関東地区での記録は7.4％でしたが、中京地区では22％と高く、地域による関心の差が明確に現れました。

物語の始まりでは、名古屋の繊維問屋「丸幸商店」の主人である幸一郎（高田次郎）が、易の教えに従って「北」の方角から来る小僧を探しています。その願いに応え、出入りの行商人である安森（岸部シロー）が、北海道小樽からやってきた少年・輪助（少年期の輪吉を演じる平田雄嗣）を丸幸商店に紹介することから、輪吉の商売人としての第一歩が踏み出されます。

このドラマの企画は、実在の人物と企業に基づいています。主人公・輪吉のモデルとされるのは、名古屋の繊維商社である「丹羽幸」の創業者、丹羽幸一郎氏です。企画が具体化した背景には、「丹羽幸」の二代目社長であった丹羽吉雄氏が、原作・脚本の花登筐と大学時代の同級生であり、制作にあたって丹羽幸の貴重な資料を提供したという繋がりがありました。

主な出演者

輪吉（主人公）：志垣太郎
少年期の輪吉：平田雄嗣
藤真利子
安森（行商人）：岸部シロー
森昌子
丹阿弥谷津子
松村達雄
樋口可南子
野川由美子
幸一郎（繊維問屋「丸幸商店」主人）：髙田次郎
仲真貴
月丘千秋
神山繁
多々良純
大石吾朗
住吉道博
石井均
三波豊和
藤岡琢也
山田昌
斉川一夫
金子吉延
ナレーター：三國一朗

主なスタッフ

原作・脚本：花登筺
演出：平松敏男、山像信夫、逢坂勉（KTV）
制作：東宝、THK（東海テレビ放送）

放送日程に関する特記

全22話の放送期間中、以下の日程では特別番組のため本ドラマの放送が休止となりました。

1980年11月8日：ドラマスペシャル『スペイン子連れ留学』およびミニ番組放送のため。
1981年1月3日：ドラマスペシャル『和宮様御留』放送のため。
* 1981年3月7日：ドキュメンタリー・ドラマ『侵略・プラハの悲劇』放送のため。

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