金子吉延

金子吉延：子役スターから俳優そして実業家へ

金子吉延さんは、1955年生まれの日本の元子役、俳優です。1960～70年代にかけて活躍し、特撮テレビドラマ『仮面の忍者赤影』での青影役で人気を博しました。この記事では、彼の多彩な経歴と数々のエピソードを紹介します。

子役時代：劇団あすなろから東映京都へ

金子さんは、小児喘息を患っていたことから、母親の勧めで1959年に劇団あすなろに入団。これが子役への第一歩となりました。NHKのテレビドラマ『下町』でテレビドラマデビューを果たし、その後、内田吐夢監督の目に留まり、映画『宮本武蔵 巌流島の決斗』に出演。東映京都との関わりが始まりました。新幹線のない時代、飛行機で何度も京都と東京を往復する生活を送っていたようです。

複数の資料では『青島要塞爆撃命令』への出演が記述されていますが、金子さんはこれを否定しています。1966年、『丹下左膳 飛燕居合斬り』で再び京都へ。同年、東映京都で映画化された『大忍術映画 ワタリ』では、自ら企画室へ売り込みをかけ、脇役希望にもかかわらず主演に抜擢されるという幸運をつかみました。3か月の撮影期間中は、母親とともに東映の女子寮に入寮していました。

『仮面の忍者赤影』の大成功と学校生活

『ワタリ』での演技が評価され、金子さんは1967年放送開始の『仮面の忍者 赤影』で少年忍者「青影」役を射止めました。当初はカツラだった青影の長い髪は、後に地毛となり、1年間も髪を切らなかったといいます。『赤影』の大ヒットで「子役スター」と呼ばれるようになりましたが、金子さんはその自覚は全く無かったと語っています。

撮影中は京都市立御室小学校に転入していましたが、学校にはほとんど通えず、先生にも会ったことが無かったそうです。オール1の成績表を見て、2学期からは朝1時間だけ通学するようになりました。撮影現場近くの植木屋の別荘を借りて生活し、以前は俳優の松方弘樹さんが住んでいたそうです。怪獣路線への変更には、子供心に納得がいかなかったとも述べています。

共演者とのエピソードも興味深いものがあります。子供嫌いだった坂口祐三郎さんとは、最初は冷たかったものの、徐々に打ち解けていき、引退後も交流が続いたそうです。また、『ワタリ』『赤影』『河童の三平』などで共演した牧冬吉さんについては、生前褒めちぎられていたにもかかわらず、没後に牧さんの息子から「嫉妬していた」と言われたと語っています。端役だった川谷拓三さんには、自転車で撮影所を回ってもらっていたそうです。

1993年頃からは、坂口祐三郎さんとともに『赤影』の続編を企画していましたが、坂口さんの死去により実現しませんでした。

『赤影』後：高校時代と俳優引退

東京に戻り中学校へ進学したものの、『河童の三平 妖怪大作戦』の主演が決まり、再び学校に通えなくなりました。高校受験の面接では「君が青影丸か」と聞かれ、「丸はつきません」と答えたそうです。高校入学後は日舞を習い、高校2年までは毎日通学していました。

『赤影』『河童の三平』のプロデューサーだった東映の平山亨プロデューサーを日舞の発表会に招いたことがきっかけとなり、1973年のテレビドラマ『どっこい大作』の主人公に抜擢されました。番組延長により通学できなくなり、一時退学するも、担任の尽力で復学・卒業を果たしました。23歳で俳優を引退し、空調関係の会社を経営する傍ら、各種イベントや企画ビデオ作品に出演しています。現在も佐々木剛さんが経営する居酒屋「バッタもん」の常連客として知られています。

出演作品リスト

金子吉延さんの膨大な出演作品リストは、彼の幅広い活動を物語っています。映画では東宝、日活、東映の作品に多数出演。テレビドラマではNHK、NTV、TBS、NET、CXなど多くの局の番組に出演しています。特撮ヒーロー作品から時代劇、現代劇まで、ジャンルを問わず活躍しました。

映画
地の涯に生きるもの (1960)
どじょっこの歌 (1961)
英語に弱い男 東は東 西は西 (1962)
キングコング対ゴジラ (1962)
…（以下、多数）

テレビドラマ
文芸劇場 / 下町 (1962)
テレビ指定席 / 顔 (1963)
仮面の忍者 赤影 (1967-1968)
河童の三平 妖怪大作戦 (1968-1969)
…（以下、多数）

このリストはほんの一部です。彼の活躍は、多くの作品に刻まれています。

まとめ

金子吉延さんは、子役時代からの輝かしい経歴、数々の困難を乗り越えてきた経験、そして現在も続く多彩な活動を通して、多くの人々に感動と勇気を与え続けています。彼の物語は、日本のテレビドラマ史、特撮史において重要な一章を刻んでいると言えるでしょう。

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