永代通り

永代通り（えいたいどおり）

永代通り（えいたいどおり）は、日本の首都東京における重要な東西方向の幹線道路であり、東京都によって定められた通称道路名の一つです。この名称は、沿線に位置し、隅田川に雄大な姿を見せる永代橋を渡ることに由来しています。都心部、特に千代田区の皇居近くから、中央区を経て江東区の東部までを結び、東京都内の主要な交通網の一部を構成しています。

概要

永代通りの起点は、千代田区にある皇居正門前の大手門交差点です。ここから東へ進み、中央区を経由して江東区に至り、清砂大橋の西詰交差点が終点となります。この区間は、東京都が定める都市計画道路として、都心環状線の骨格をなす環状第1号線の一部、および都心から東方向へ延びる放射第16号線の一部として位置づけられています。

複数の幹線道路が組み合わさって永代通りを構成しています。具体的には、起点の千代田区大手門交差点から大手町交差点までの区間は東京都道403号大手町湯島線の一部（環状第1号線）として、大手町交差点から日本橋交差点までは国道1号および国道20号の一部（放射第16号線）として指定されています。そして、日本橋交差点から終点の清砂大橋西詰交差点までの区間は、東京都道10号東京浦安線の一部（放射第16号線）となっています。このように、永代通りは単一の路線名ではなく、複数の国道や都道の一部区間を束ねる通称名として機能しています。

歴史

永代通りの歴史は、近代日本の道路整備の歩みと深く関わっています。明治時代に入り、日本橋を起点とする新たな国道網が整備される中で、現在の永代通りを含む一部区間もその指定を受けました。具体的には、1876年（明治9年）には太政官達により国道の一部とされ、1885年（明治18年）の内務省告示では、東京から横浜に至る「1号」国道などに指定されています。大正時代、1920年（大正9年）に新たな道路法が施行されると、永代通りの該当区間は国道1号（東京から神宮へ向かう路線）として改めて認定されました。

1923年（大正12年）の関東大震災は、東京の街並みに壊滅的な被害をもたらしましたが、同時に近代的な都市基盤整備の契機ともなりました。震災後の帝都復興事業では、永代通りを含む都心部の道路網が計画的に拡幅・整備され、現在の碁盤の目状の街路の骨格が形成されました。1930年（昭和5年）に帝都復興祭が開催される頃には、東京の中心部はほぼ現在の街路形態を備えるに至ります。第二次世界大戦後、1946年（昭和21年）には戦災復興院の告示により、その一部が東京都の都市計画道路である環状第1号線および放射第16号線に指定されました。その後も、道路法の改正（1952年の一級国道指定、1965年の一般国道への変更など）に伴い、法的な位置づけも変化しながら現在に至っています。

また、交通運用面での特筆すべき点として、永代橋付近で行われていた中央線変移があります。これは、平日夜間の交通量を考慮し、夕方から夜間にかけて車線数を時間帯で変更するものでした。しかし、2025年1月12日をもってこの運用は終了し、終日、西行き3車線、東行き2車線に固定される予定です。

道路施設・地理

永代通り沿いの重要な道路施設としては、やはり通りの名の由来ともなった永代橋が挙げられます。隅田川に架かるこの橋は、震災復興事業によって現在の姿に架け替えられたものであり、歴史的な建造物としても知られています。

永代通りが通過する自治体は、東京都の千代田区、中央区、江東区の3区に及びます。都心のビジネス街から商業地域、そして下町情緒を残す地域、さらに近年開発が進む湾岸部へと、沿線の景観や雰囲気は多様に変化します。都心の主要な交差点や、首都高速道路の出入口とも複数接続しており、広範囲からのアクセスを担っています。

交通

永代通りの交通を語る上で欠かせないのが、並行する鉄道網です。通りの地下の多くの区間を、東京メトロ東西線が走っており、大手町駅から日本橋駅、茅場町駅、門前仲町駅、木場駅、東陽町駅、南砂町駅と、沿線に多くの駅が設けられています。このため、永代通り沿いは公共交通機関を利用した移動も非常に便利です。

また、永代通り周辺には、東西線以外にも多数の鉄道路線が集まります。JR各線（山手線、京浜東北線、中央線、総武快速線）が乗り入れる東京駅をはじめ、東京メトロの銀座線、丸ノ内線、日比谷線、千代田線、都営地下鉄の浅草線、三田線、大江戸線など、都内各方面や郊外を結ぶ様々な路線が利用可能です。これにより、永代通り沿いは都心部への通勤・通学、あるいは城東地区と都心部を結ぶ主要な交通拠点の一つとなっています。バス路線についても、都営バスの東22系統や都07系統など、地域住民やビジネスパーソンにとって重要な役割を果たす路線が運行されています。

永代通りは、その名前の由来となった永代橋のように、古くから東京の東西を結ぶ重要なルートであり、帝都復興や戦後の都市計画を経て、現代の複雑で多様な都市活動を支える大動脈の一つとして機能し続けています。

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