永島義男

永島 義男

日本の著名なコントラバス奏者であり、優れた音楽教育者。1947年4月9日、東京都杉並区阿佐谷に生まれた。日本のコントラバス界において、演奏と教育の両面で顕著な功績を残した人物として広く認識されている。

教育者としての貢献

永島氏は東京藝術大学を卒業後、27歳の時に母校で教職に就いた。助教授、そして教授として、合計25年間にわたり東京藝術大学でコントラバスの指導にあたり、その間に同大学のコントラバス科から巣立った多くの演奏家たちが彼の弟子となった。この事実は、彼が日本のコントラバス教育において果たした中心的な役割の大きさを物語っている。2015年3月に東京藝術大学を退任した後、同大学より名誉教授の称号を授与された。

東京藝術大学での活動に加え、永島氏は他の教育機関でも要職を務めている。沖縄県立芸術大学客員教授や東京音楽大学講師として国内の後進指導にあたったほか、中国の中国音楽学院および瀋陽音楽学院でも客員教授を務めるなど、国際的な視野に立った教育活動にも積極的に取り組んだ。

演奏および受賞歴

東京藝術大学在学中に安宅賞を受賞するなど、早くからその才能を認められていた永島氏は、卒業後、多岐にわたる演奏活動を展開した。ソロリサイタルを開催する傍ら、オーケストラとの共演や室内楽の分野でも活躍し、その演奏は放送やテレビでも広く紹介された。

特に、現代音楽の演奏には強い情熱を注ぎ、多くの邦人作曲家による作品の初演を手がけた。新しい音楽の可能性を追求し、その普及に貢献したこれらの活動は高く評価され、1986年には第4回中島健蔵音楽賞を受賞している。

国際的な活動と評価

永島氏は、国内外の主要な音楽コンクールにおいて審査員を数多く務めた。イギリスのマン島国際コントラバスコンクール、日本の泉の森国際コントラバスコンクールや宝塚ベガ音楽コンクール、栃木コンセールマロニエ21、秋吉台音楽アカデミー、イタリアのジョヴァンニ・ボッテジーニ国際コントラバスコンクール（クレマ）など、権威あるコンクールで若手育成の重要な役割を担った。

また、演奏家および教育者としての国際的な評価も高く、中国、韓国、イギリス各地でマスタークラスを開催し、各国の学生や演奏家を指導した。2008年には、コントラバス界における最も重要な国際会議の一つであるパリで開催されたコントラバス連盟世界大会に招待され、リサイタルを行うなど、国際舞台での演奏活動も精力的に行った。

著作・映像教材

永島氏は、自身の豊富な経験に基づいたコントラバスに関する著作や教育用映像教材も出版している。著書には、練習方法を解説した『朝錬 コントラバス』（全音楽譜出版社、1996年）や、初心者向けの入門書『うまくなろう コントラバス』（音楽之友社、2001年）がある。また、楽器の奏法を解説する映像教材として、VHS版『コントラバス バンドのための楽器奏法入門』（音楽之友社、1985年）や、監修を務めたDVD版『管打楽器セミナー(1)コントラバス』（大蔵書院、2003年）などがあり、これらは多くのコントラバス学習者にとって貴重な学習資料となっている。

まとめ

永島義男氏は、コントラバス奏者としての優れた演奏能力に加え、日本の音楽教育界、特にコントラバス分野における最も重要な人物の一人としてその名を刻んでいる。東京藝術大学での長期にわたる指導は、日本のコントラバス演奏レベルの向上と、次世代を担う多くの優れた音楽家の育成に大きく貢献した。現代音楽への深い理解と実践、国際的な活動、そして教育教材の提供を通じて、日本のコントラバス界全体に計り知れない影響を与え続けている。彼の功績は、日本のクラシック音楽史において特筆されるべきものである。

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