永昌路

永昌路の歴史的背景

永昌路（えいしょうろ）は、中国の甘粛省の一部であり、かつてモンゴル帝国および大元ウルスの時代に存在した地域です。この名称は、オゴデイ系コデン家がこの地に宮殿を築いたことに由来しています。永昌路は、唐代の涼州を前身とし、その歴史は古代中国に遡ります。

唐代からモンゴル帝国へ

唐代に涼州は重要な地域であり、歴史の中で特に西夏国の領土となっていました。しかし、1227年にチンギス・カンが西夏国を征服し、これによりモンゴル帝国の領域に組み込まれることとなりました。この年、チンギス・カンは西夏国の収益を息子たちに分配しました。特に、サ州は長男のジョチ家に、山丹は次男のチャガタイ家に、そして西涼は三男のオゴデイに配分されたのです。このように、西道諸王の下で領土が均等に分けられることになりました。

コデン王家と永昌路の成立

モンゴル高原や山西地方からの支配地域と同様に、これらの領土も均等に分配されることで、オゴデイはその後未だ記録のない新しい地域の統治を引き受けることとなります。オゴデイが第2代皇帝として即位すると、彼はこの西涼の土地を息子のコデンに授け、コデン・ウルスが形成されます。ここに永昌路の歴史が新たに刻まれました。

永昌府の設立と昇格

1272年、コデン家の当主ジビク・テムルによって新城が建設され、「永昌府」と名付けられました。その後、1278年に府から路に昇格し、正式に永昌路と呼ばれるようになります。また、この際に西涼府は西涼州へと降格され、永昌路に属することになりました。

明朝時代の永昌路

永昌路は朱元璋によって明朝が建国された後も重要な地域であり、永昌衛が設置されました。この時期、永昌路は発展を続け、行政管理の中心としての役割を果たしていました。

参考文献

• - 赤坂恒明『バイダル裔系譜情報とカラホト漢文文書』『西南アジア研究』66号、2007年
• - 杉山正明『モンゴル帝国と大元ウルス』京都大学学術出版会、2004年
• - 松田孝一『チャガタイ家千戸の陝西南部駐屯軍団 (上)』『国際研究論叢: 大阪国際大学紀要』第7/8合併号、1992年
• - 村岡倫『モンゴル時代の右翼ウルスと山西地方』『碑刻等史料の総合的分析によるモンゴル帝国・元朝の政治・経済システムの基礎的研究』、2002年

このように、永昌路はその興味深い歴史の中で、モンゴル帝国から明朝時代にかけての重要な出来事を反映する地域として位置づけられています。

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