永田利則

永田 利則（ながた としのり）は、1961年10月9日に広島県広島市東区尾長で生まれた元プロ野球選手（内野手）。父は1954年から1956年にかけて広島東洋カープに所属した永田徹登氏という、野球に縁の深い家庭に育った。

広島商業高等学校に進学し、野球部では攻守にわたって活躍を見せた。1年生だった1977年夏には、エース住吉慶一投手（後に法政大学に進学）を擁し、右翼手として夏の甲子園に出場。チームは3回戦まで駒を進めたが、豊見城高校の下地勝治投手と石嶺和彦捕手のバッテリーの前に打線が抑え込まれ、延長10回の熱戦の末に0対1で惜敗した。3年生となった1979年には三塁手にコンバートされ、再び夏の甲子園の舞台に立った。初戦となる2回戦では、同期の中島信男投手（後に広島銀行）の好投もあり、秋田商業高校の高山郁夫投手を打ち崩して勝利。しかし、続く3回戦では浪商高校の牛島和彦投手の前に大敗を喫し、甲子園での戦いを終えた。

1980年のドラフト会議で、広島東洋カープから2位指名を受け入団。入団当初は、当時チームの中心選手だった三村敏之氏の再来を期待され、「三村二世」と称されるなど、将来を嘱望された。しかし、当時の広島カープの野手陣は非常に層が厚く、若手にとって一軍への壁は高かった。永田もなかなか定位置を掴むことができず、長い二軍生活を送ることになる。

転機が訪れたのは、1987年シーズン途中だった。西山秀二選手と金銭を伴う2対1の交換トレードにより、森脇浩司選手とともに南海ホークスへ移籍。新たな環境での挑戦が始まった。移籍後の1988年には、ファームであるウエスタン・リーグで打率.325をマークし、首位打者のタイトルを獲得。その活躍が認められ、シーズン終盤には一軍でも二塁手や三塁手として9試合に先発出場を果たした。しかし、同年12月にはポーカー賭博に関与したとして逮捕され、球団から謹慎処分を受けるという不測の事態に見舞われた。

謹慎明けとなった翌1989年には、ウエスタン・リーグで30盗塁を記録し、盗塁王に輝くなど、ファームで再び結果を残した。一軍でも7月には指名打者や三塁手として6試合に先発出場。1試合ながら一番打者としても起用されるなど、存在感を示した。しかし、1990年には出場機会が減少し、同年限りで現役を引退。現役中は、左打席にも挑戦するスイッチヒッターへの転向や、持ち味である俊足を生かすための努力を続けたが、残念ながらプロの世界で目覚ましい成績を残すには至らなかった。

現役引退後は、古巣である広島東洋カープに復帰。1991年から1993年までの3年間はスコアラーとしてチームを支えた。その後、指導者としての道を歩み始め、1994年には二軍守備走塁コーチに就任。長年にわたりカープのコーチとして、若手の育成やチームの強化に尽力した。2007年からは一軍外野守備走塁コーチを務め、2010年には二軍野手総合コーチ、2011年からは再び一軍守備走塁コーチ、2014年には一軍打撃コーチ補佐、2015年には一軍総合コーチと、様々なポストを歴任した。2016年からは二軍外野守備走塁コーチを務めたが、2019年10月28日に球団から翌シーズンのコーチ契約を結ばないことが発表され、カープを離れることになった。

カープ退団後も野球への情熱は衰えることなく、2020年からは社会人野球のMSH医療専門学校硬式野球部で監督を務めた。そして2023年10月からは、自身の父・徹登氏の母校でもある広島県瀬戸内高等学校硬式野球部の監督に就任。プロ時代の同僚であり、MSH医療専門学校でも共に指導にあたった長内孝氏もコーチとして招聘し、新たな舞台で高校球児の育成に励んでいる。

記録

初出場: 1981年6月3日、対阪神タイガース7回戦（広島市民球場）、9回裏に三村敏之の代走として出場
初先発出場: 1988年9月13日、対ロッテオリオンズ22回戦（川崎球場）、8番・三塁手として先発出場
初安打: 1988年9月22日、対近鉄バファローズ24回戦（日生球場）、9回表に森脇浩司の代打として出場、佐々木修から単打
初打点: 1989年6月27日、対オリックス・ブレーブス11回戦（平和台球場）、6回裏に伊藤寿文の代打として出場、関口朋幸から2点適時三塁打

背番号

32 （1980年 - 1987年途中）
51 （1987年途中 - 1990年）
* 85 （1994年 - 2019年）

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