江の島水族館

江の島水族館の歴史

江の島水族館は、1954年7月1日に日本初の近代的な水族館として開業しました。その起源は、1950年代初頭に日活の社長であった堀久作が、湘南海岸を訪れた際に「この地に水族館があれば」という発想から始まりました。1952年7月19日には株式会社江の島水族館が設立され、水族館の建設が始まりました。

開業から閉館まで

1954年7月1日、国道134号線沿いに「水族館（1号館）」が開業しました。その後、1960年代には国道を挟んだ海岸側に「マリンランド（2号館）」と「海の動物園」が増築され、3館体制となりました。1974年に堀久作が亡くなると、息子の堀雅彦が経営を引き継ぎ、その後、堀雅彦の妻である堀由紀子が社長兼館長に就任しました。

2001年、施設の老朽化に伴い、海側の敷地を拡張して建て替えることが決定し、新江ノ島水族館として再出発することになりました。2002年9月16日には「マリンランド」と「海の動物園」が閉館しましたが、内陸側の「水族館」は2003年12月31日まで営業を続けました。

施設概要

開業当初の「水族館（1号館）」は、魚類を飼育する1階部分と、標本やクラゲの飼育、エドワード・S・モースの功績を称える展示がありました。1955年12月28日には、博物館相当施設に指定されました。館内には吹き抜け部分があり、魚のショーも行われていましたが、1990年には「木陰のマンボウ広場」がオープンしました。

アートトンネル『アクアパラダイス』

水族館とマリンランドを結ぶ地下道は、当初は海洋生物の知識などが描かれていましたが、1993年にアートトンネル『アクアパラダイス』としてリニューアルされました。これは旧水族館時代のもので現存していましたが、旧水族館の解体に伴い現在は閉鎖されています。

江の島水族館マリンランド

1957年5月3日にオープンした「マリンランド（2号館）」は、日本で初めてイルカを飼育するために建造された水族館です。1967年4月1日には、博物館相当施設に指定されました。当時東洋一の大きさを誇るプール（表面積1000平方メートル、水量5,000 t、水深6 m）を有しており、イルカやゴンドウクジラのショーが人気を博しました。当初はミンククジラの飼育を計画していましたが、確保できず、代わりにイルカなどを飼育するようになりました。

江の島海の動物園

1964年5月25日にオープンした「海の動物園（3号館）」は、鰭脚類の哺乳類やペンギンを主に飼育する施設でした。1967年7月11日には、日本で唯一のオットセイ飼育場となり、1977年にはミナミゾウアザラシの「大吉」が日本最長飼育記録を樹立しました。1985年にはラッコ専用の飼育展示室「ラッコの家」が開設され、1986年にはアシカショーやペンギンショーを行う「シートピアステージ」もオープンしました。

映画「鯨箱根を越ゆ」

1957年8月27日には、日活映画「鯨箱根を越ゆ」が公開されました。この映画は、マリンランド開園時の様子を記録したもので、ハナゴンドウが伊豆から箱根を越えて輸送される様子や、当時の水族館の様子がカラー映像で収められています。

その後

江の島水族館の閉館後、事業主体であった株式会社江の島水族館は、株式会社江ノ島マリンコーポレーションへ改称し、各地の水族館での飼育管理や、旧水族館1号館を利用したショッピングモール「湘南カゾック」の経営に事業転換しました。旧水族館の建物は一時、土産店やレストランとして利用されましたが、その後マンションが建設され、現在ではその姿を見ることはできません。

新江ノ島水族館は、BOO（PFI）方式で運営されており、江の島ピーエフアイが施設を運営し、江ノ島マリンコーポレーションが飼育を担当する形態となっています。

株式会社江ノ島マリンコーポレーション

株式会社江ノ島マリンコーポレーションは、1952年に江の島水族館の事業会社として設立されました。現在では、新江ノ島水族館、相模川ふれあい科学館、世界淡水魚園水族館を運営しています。

その他の江の島水族館

江の島には、この江の島水族館以前にも、同名の水族館が存在したことが確認されています。初代は1902年に開館し、土産物店の傍らで小さな水族館として営業していた可能性が指摘されています。二代目は1925年に開館し、「江の島娯楽館」として地元で親しまれていました。

江の島水族館は、その長い歴史の中で、多くの人々に感動と興奮を与え、日本の水族館の発展に大きく貢献しました。

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