江丙坤

江丙坤の生涯と業績

江丙坤（こう へいこん、1932年12月16日 - 2018年12月10日）は、台湾の政治家および外交官として知られ、中華民国（台湾）の重要な対中交渉の窓口としての役割を果たした。彼は、台湾の対中交渉機関である海峡交流基金会（海基会）の董事長や、中国国民党の副主席を務め、国際民主同盟の副議長や、東京スター銀行の取締役会長など、多くの要職を歴任した。2015年には旭日重光章を受賞するなど、国際的にも高く評価された存在であった。

初期の経歴

江丙坤は1932年、台中州南投郡に貧しい農家の子として生まれた。彼は台湾省立法商学院（現在の国立台北大学）で地政学を学び、1960年には中国国民党の中山奨学金を得て東京大学に留学。その後、農業経済学の博士号を取得した。これらの教育背景が、彼の今後の政治活動や経済政策に大きな影響を与えたことは言うまでもない。

その後、駐日および駐南アフリカの大使館での勤務を経て、1982年には経済部国際貿易局の副局長に就任。その後、1993年から1996年まで李登輝総統のもとで経済部長を務め、1996年から2000年まで蕭万長内閣で行政院経済建設委員会主任委員を歴任した。

政治活動

2001年、江丙坤は国民党から立法委員選挙に立候補し不分区の全国比例代表区で当選。立法院副院長に就任し、2005年までその職にあった。立法委員を2期6年間勤めた後、2008年5月に馬英九総統のもとで海峡交流基金会の董事長に就任し、対中交渉の指導的立場を担った。

2008年、江丙坤は海基会の代表団を率いて初めて中国に訪問し、大陸側の交渉機関と実質的な合意を交わした。特に、台湾からの観光解禁や、両岸の三通（通信・通商・通航）の実現に向けた進展が見られた。

その後も数度のトップ会談を重ね、2009年には南京にて両岸直航便の定期便化や犯罪捜査・司法協力について合意。これらの取り組みで、台湾と中国の関係を一層緊密にする土台を築いた。

日本との関係

江丙坤は1960年代に東京大学大学院に留学し、農業経済学の修士号と博士号を取得。1980年代から1970年代にかけて駐日中華民国大使館での勤務を経て、博士論文を基にした著書「台湾地租改正の研究」を出版。彼の研究は日本の土地調査活動に関する重要な知見を提供するものとなった。

また、2008年には日本を訪問し、麻生太郎自民党幹事長と会談。台湾の対中政策について日本語で講演するなど、日台関係をさらに強化するための活動を行った。

2014年には中国信託商業銀行が東京スター銀行を完全子会社化したのを受け、同行の取締役会長に就任。その後もさまざまな場面で日台の架け橋としての役割を果たしていった。

2016年11月、自伝『日台の架け橋として 居之無捲、行之以忠』を出版し、自らの経験や見解を語った。

総括

江丙坤の業績は、台湾と中国の関係改善や日台関係強化において重要な影響を持ち続けている。彼の生涯は、政治家としてだけでなく、国際的な平和の架け橋としても知られ、今後も語り継がれることでしょう。

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