江南殲滅作戦

江南殲滅作戦 (こうなんせんめつさくせん)

江南殲滅作戦は、日中戦争中の1943年4月から6月にかけて行われた日本軍と中国軍の戦闘で、湖北省西部が舞台となりました。この作戦は、湖北作戦とも呼ばれ、中国側では鄂西会戦と名付けられています。また、同時期に日本海軍が行った作戦にはG作戦という名称も付けられました。

日本の第11軍は、司令官の横山勇中将の指揮のもと、長江南岸の地域へ侵攻し、中国軍を撃滅しようとしました。作戦の主な目的は、第11軍が占領した地域の安定を図り、また宜昌から下流の長江の水上交通路を確保することにありました。この期間、中国軍による長江への機雷敷設の情報もあったことから、安全な航行を確保するため、水路啓開隊が編成されました。作戦の検討段階では「二号作戦」と呼ばれていたことから、これは第11軍にとって1943年の2番目の主要な作戦であることがわかります。

作戦は、三つの段階に分けられて進行しました。第1期作戦は4月9日から15日まで行われ、戸田支隊を中心に第3師団や独立混成第17旅団が参戦し、華容や石首から南下しました。この期間中に洞庭湖北岸の三仙湖まで占領に成功しました。続いて、5月5日からの第2期作戦では第13師団と第58師団も加わり、枝江南方で中国第87軍の主力を包囲し、撃破します。第3期作戦では日本軍は西陵峡にまで到達しました。

特に、西陵峡にある石牌要塞は長江三峡の要所として重要視されていました。この守備を突破されると、中国軍は巴東にある第6戦区司令部が脅かされ、最終的には重慶への防衛が失われる恐れがありました。防衛軍には砲兵部隊や工兵部隊が配置され、またアメリカ第14空軍からの航空支援が提供されるなど、中国軍にはかつてない援助がありました。

作戦中、中国軍は直接的な抵抗に加え、後方地域への反撃作戦も展開しました。日本軍の部隊が迎撃部隊に襲われる場面もあり、中国軍はこの戦いで一定の成果を上げました。宜昌では、漢口への移動中の船舶が攻撃を受けることもあり、29日には日本軍が作戦を終了しました。作戦中、日本軍は約60個の機雷を処理する一方で、中国軍側でも大きな損害を被りました。

作戦の結果、日本軍の戦果は中国軍の遺棄死体が約30,700体、捕虜は4,279名に及び、様々な兵器を鹵獲しました。一方で、日本側も771名が戦死し、2,746名が戦傷を負いました。中国側はこの作戦を重慶への侵攻の第一歩として捉え、結果的に激しい抵抗をもって日本軍に対抗しました。日本軍が撤退する際、中国軍は勝利を収めたと主張しました。

しかし、アメリカにおける意見は異なり、日本軍の目的が飽和し、自然に退却したと解釈され、中国側の勝利宣言は誇張されているとの見解が示されました。

また、中国側は、この作戦中に「廠窖虐殺事件」が起きたと非難しています。これは湖南省南県で、多数の軍人及び民間人が暴力の犠牲になったとされる事件で、日中戦争中で最も深刻な問題の一つとされています。

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