江戸川乱歩の陰獣

江戸川乱歩の陰獣

『江戸川乱歩の陰獣』（えどがわらんぽのいんじゅう）は、1977年に公開された日本の映画で、江戸川乱歩の小説を原作として製作されました。本作は、加藤泰監督のもと、香山美子やあおい輝彦を主演に迎えた、松竹によるカラー作品です。上映時間は116分です。

製作背景

本作の製作は、1976年に東宝から公開された『犬神家の一族』が大ヒットしたことに触発され、ミステリ・ブームが巻き起こっていた時期のものです。松竹はこの波に乗り、横溝正史作品に対抗する形で江戸川乱歩の世界に焦点を当てました。加藤泰監督は、時代劇や任侠映画の巨匠として知られる一方で、1970年には岡田茂東映製作本部長から「ピンク[[映画]]ができるまで」を提案され、潜在的にセックス表現を描く映画に興味を示していました。これが製作されるには至りませんでしたが、加藤監督の作風に影響を与えたかもしれません。

スタッフ

本作のスタッフには、製作の白木慶二、助監督の増田彬をはじめ、脚本を加藤泰と仲倉重郎が担当しました。撮影は丸山恵司が受け持ち、音楽には鏑木創が起用され、美術は梅田千代夫によって彩られました。

キャスト

主要なキャストには、寒川光一郎役のあおい輝彦、小山田静子役の香山美子、小山田六郎役の大友柳太朗、本田達雄役の若山富三郎などが名を連ねています。本作には、その他にも多くのキャラクターが登場し、物語の深みを増しています。

評価と反響

映画は公開初期こそ評価を受けましたが、興行的には失敗に終わりました。一方、評論家の蓮實重彦は本作を称賛しましたが、中井英夫は「万事現代風な安直な出来」と指摘し、失望感を表明しました。また、同じ試写に出席していた横溝正史は本作の心理的葛藤に着目し、結末よりもその過程に恐怖を見出したことを好意的に評価しました。これにより、ドラマの核心部分に重点を置いた作品だと言えるでしょう。

結論

『江戸川乱歩の陰獣』は、原作の魅力を生かしながらも、新たな解釈で映像化された一作です。評価は賛否が分かれましたが、心理的なサスペンスの要素と登場人物の葛藤が織りなすストーリーは、観客に強い印象を残しています。江戸川乱歩の作品を愛するファンや興味を持つ人々にとって、ぜひ一度は目にしてほしい邦画の一つです。

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