大友柳太朗

大犮 柳太朗（おおとも りゅうたろう）の生涯と業績

大犮柳太朗（1912年6月5日 - 1985年9月27日）は、山口県に生まれた日本の俳優で、本名は中富正三です。彼は新国劇での舞台経験を経て、戦後の日本映画界において、特に東映の時代劇映画で多くの主演を務めた剣劇のスターとして名を馳せました。また晩年にはテレビドラマでもその存在感を発揮しました。

早年と新国劇での活動

大犮柳太朗は、父親が山口県柱島出身、母親が広島県能美島（現江田島市）出身という家庭に生まれました。生後間もなく柱島へ移り、小学校では山口県屋代島で育ちました。1935年に松山中学を卒業後、大阪にて新国劇に入団し、辰巳柳太郎に師事しました。彼は伊藤大輔監督から「大輔」という名を授かり、芸名「中富大輔」で初舞台を踏みました。

映画界デビューと成功への道

1936年、新興キネマ京都撮影所に招かれ『青空浪士』で映画デビューを果たし、このときに「大犮柳太郎」という名を受け継ぎました。翌年の『佐賀怪猫伝』は大ヒットを記録し、一気にスターへと昇りつめました。その後、1942年に大映に移籍し、『維新の曲』では坂本龍馬の暗殺者を演じるなど、さらなる活躍が期待されました。

戦争と復帰

しかし、1943年に太平洋戦争に召集され、戦争が終わるとGHQによる映画の制限が彼の活動に影響を及ぼしました。そのため、当初は厳しい時代を過ごし、1947年には『天下の御意見番を意見する男』で再起を図りますが、活躍の場が少ない日々が続きました。

名実ともに人気俳優へ

1950年以降、GHQの禁止令が解除され、大犮は剣劇映画の世界へ戻ります。この時に「郎」を「朗」に改名しました。そして『快傑黒頭巾』や『新諸国物語 笛吹童子』などのヒット作が続き、「東映時代劇スター」として確固たる人気を得ました。

決して順風満帆ではなかった演技者人生

1957年には、シネマスコープ作品『鳳城の花嫁』で新たな成功を収め、戦前の名声を凌駕する存在となりました。しかし、常に演技に対する強い不安を抱えていたとされ、撮影中には何度も台詞を反復する姿が見られたとのことです。晩年には時代劇だけでなく現代劇においても多くの作品に出演し、特に『北の国から』では重要な役柄を演じました。

俳優としての栄光と晩年の悲劇

1985年、大犮は自らの命を絶ちました。73歳の誕生日の前日、自身が出演予定だったテレビドラマへの遺書を残しながらの突然の死は、多くの人々に衝撃を与えました。彼の死因としては、俳優としてのプレッシャーや精神的な苦悩が影を落としていたと言われています。

人柄と業績

劇中では豪快かつ自由な役柄を演じることが多かった大犮ですが、実際の彼は内面的には神経質で不器用な一面を持っていました。このように、俳優としてのキャリアは光と影が交錯するものであり、長い年月をかけて築いた彼のスターの地位は、多くの人々に影響を与えました。大犮柳太朗の業績は、今日の日本の映画やテレビドラマにおいて、今なお語り継がれています。

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