江草隆繁

江草 隆繁（1909年 - 1944年）

江草隆繁（えぐさ たかしげ、1909年9月4日 - 1944年6月15日）は、日本の海軍軍人で、最終階級は海軍大佐でした。彼は海兵58期生として海軍軍人の道を歩み、特に急降下爆撃機の搭乗員として著名です。日本の海軍に多大な貢献をした彼は、あ号作戦で戦死しました。

生涯

江草は広島県の農家に生まれ、旧家の家系として育ちました。1925年には海軍兵学校と陸軍士官学校に合格しましたが、身体検査の際に誤診され、海兵57期への入校が叶いませんでした。しかし、1927年に海軍兵学校58期として入校し、卒業後は艦艇での練習航海に従事しました。

その後、艦上攻撃機の搭乗員となり、訓練を経て急降下爆撃へと専門を移しました。1939年に岡村基春中佐の妹と結婚するなど、個人的な生活も充実していました。

1941年からは空母「蒼龍」の艦爆隊長として真珠湾攻撃に参加し、急降下爆撃において彼の名を広めました。この攻撃では、彼が指揮する部隊は、敵艦に対して正確な爆撃を行いました。江草はその後も多くの戦闘に参加し、特に南方戦線での戦果を上げていきました。

太平洋戦争とその後

太平洋戦争が激化する中、江草はさまざまな戦闘に参加しました。1942年にはインド洋戦線でも活躍し、彼の急降下爆撃が高く評価されました。しかし、1942年6月のミッドウェー海戦では、出撃が叶わず、その戦いでの日本軍は大敗を喫しました。江草もこの戦闘での未出撃が悔やまれました。

その後、1943年に第521航空隊の飛行隊長に就任し、新型機「銀河」のテストパイロットとしても活躍しました。しかし、これらの戦闘機は操作が難しく、訓練は非常に困難でした。

1944年にはマリアナ進出が決まり、彼は家族に別れを告げ、「汚名を残すことになっても、愛する聖子の信頼があれば」と遺言を残しました。そして、江草の率いる基地航空部隊は「あ号作戦」に参加し、サイパン島沖でアメリカの空母群に対して突撃します。

最後の戦い

あ号作戦が発動した1944年6月15日、江草は「銀河」を駆り、アメリカ空母に攻撃を仕掛けるも、米艦隊の防空火力に阻まれ撃墜されてしまいます。彼の死は、決して無駄ではなかったと後に語られることになります。江草は34歳で戦死し、死後は二階級特進にて海軍大佐となりました。彼の名は、航空攻撃のエースとして歴史に刻まれています。

墓所と評価

江草の墓は高知市の霊苑にあり、彼の戦いは後世に語り継がれています。彼は急降下爆撃機の名パイロットとして、戦争の遺産の中で特別な存在として語られ続けています。作家ピーター・C・スミスの著作によれば、彼は第二次世界大戦の航空戦史の中でその輝かしい功績が今も特別な地位を占めています。

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