江藤小三郎

江藤小三郎

江藤小三郎（えとう こさぶろう、1945年 - 1969年2月11日）は、昭和時代に活動した日本の思想家、社会運動家であり、陸上自衛官でもありました。陸上自衛隊生徒7期を修了しています。

生涯

1945年、神奈川県横浜市金沢区六浦で生まれました。父は維新の元勲である江藤新平の孫で衆議院議員の江藤夏雄、祖父は江藤新平の二男である江藤新作です。新作は犬養毅の側近を務めていました。

1969年2月11日、建国記念の日に国会議事堂前（現在の憲政記念館脇、井伊掃部頭邸跡の碑の南側）で、「覚醒書」という遺書を残し、ガソリンをかぶって焼身自殺を遂げました。享年23歳でした。彼は、自らの死によって世を警め、同胞の覚醒を促そうとしたとされています。

「覚醒書」

江藤が遺した「覚醒書」には、当時の日本社会に対する強い危機感と、国家のあり方に対する深い憂慮が記されていたと考えられます。彼は、現状を打破し、日本のあるべき姿を追求するために、自らの命を捧げたのです。具体的な内容は、現在では容易に閲覧可能です。

三島由紀夫への影響

江藤の自決は、翌年の三島由紀夫の自決（三島事件）に大きな影響を与えたとされています。三島は、江藤の死について「烈々たる殉教の精神」と評し、自らの行動の契機の一つになったことを認めています。三島は江藤の死を、日本人の精神の危機を示すものとして捉え、自らの行動によってそれを正そうとしたのです。

後世への影響

江藤の行動は、後の新右翼や民族派運動にも影響を与えました。彼の自決は、国家や民族に対する強い愛国心と、現状に対する不満や危機感の表れとして、一部の人々から共感を呼びました。

死後

1975年2月11日（建国記念の日）、赤坂の乃木会館で「江藤小三郎之命追悼慰霊祭」が開催されました。これは、江藤の死を悼み、その遺志を継承しようとする人々によって行われました。

関連情報

小川和久: 軍事アナリスト。江藤と同じ陸上自衛隊生徒7期。
三島事件: 江藤の自決に感化された三島由紀夫が起こした事件。
自殺・自決・自害した日本の著名人物一覧: 江藤もその一人として記録されています。

外部リンク

｢覚醒書｣ - 江藤小三郎
流れ第28巻　国の大事無私より始まる-江藤小三郎を憶う - 中村武彦
江藤小三郎先輩 - 中山優 (亜細亜大学教授) 他
江藤小三郎の正気（「八女便り」第12号） - 馬場能久
江藤小三郎終焉の地を訪ねる

参考文献

三島由紀夫『若きサムライのために』文春文庫、1996年11月。
三島由紀夫『決定版 三島由紀夫全集35巻 評論10』新潮社、2003年10月。

江藤小三郎の生涯は、短いながらも強烈な印象を社会に残しました。彼の行動は、当時の社会状況や思想的背景を理解する上で重要な手がかりとなります。また、彼の死が、後の思想運動や文学作品に与えた影響は、今もなお議論されています。

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