江馬時政

江馬時政

江馬時政は、安土桃山時代に活躍した武将で、飛騨国を拠点とする国人領主、江馬氏の一族です。江馬氏は桓武平氏の流れを汲み、経盛を祖とすると伝えられています。飛騨北部に勢力を持ち、その地域を支配していました。

江馬氏の没落と時政の逃亡

天正10年（1582年）、時政の父である江馬輝盛が八日町の戦いで、三木自綱や小島時光らの軍勢に敗れ、命を落としました。この敗戦により、江馬氏の勢力は急速に衰退し、姉小路氏の攻勢にさらされることになります。この状況下で、時政は越中国へと逃れました。

一説によると、時政は越前大野を領していた金森長近を頼ったとも言われています。金森長近は当時、織田信長の家臣であり、飛騨攻略にも関与していました。

飛騨侵攻と時政の挙兵

天正13年（1585年）、金森長近が飛騨に侵攻を開始すると、時政はこの軍に加わり、戦功を挙げました。この戦いで、父の仇である姉小路氏は滅亡し、江馬氏の旧領も金森長近の手に落ちました。しかし、時政に江馬氏の旧領が与えられることはありませんでした。

この結果に不満を抱いた時政は、鍋山右近大夫や広瀬宗直、三木国綱らと共に兵を挙げ、旧領の回復を目指しました。この反乱は「三沢の乱」と呼ばれています。しかし、時政らの軍勢は鎮圧され、時政自身も自害して果てました。

江馬時政の生涯を巡る史料

江馬時政の生涯については、『飛州軍乱記』（江馬家滅亡之事）や『飛州志』などの史料に記録が残っています。これらの史料は、当時の飛騨の情勢や、江馬氏の興亡を知る上で貴重な資料となっています。

江馬時政は、父の仇を討ち、旧領を回復しようと奮闘しましたが、志半ばで命を落としました。彼の生涯は、戦国時代の地方武将の悲哀を象徴する出来事として、後世に語り継がれています。

まとめ

江馬時政は、安土桃山時代の武将であり、飛騨の国人である江馬氏の一族でした。父の死後、越中国に逃れ、後に金森長近の飛騨侵攻に参加しました。しかし、旧領回復が叶わず、挙兵するも鎮圧され自害しました。彼の生涯は、戦国時代の地方武将の苦悩と悲劇を物語っています。

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