池の浦シーサイド駅

池の浦シーサイド駅：幻の夏期限定駅

池の浦シーサイド駅は、かつて三重県伊勢市二見町松下に位置していた、東海旅客鉄道（JR東海）参宮線の臨時駅でした。海水浴シーズンのみ営業を行う珍しい駅でしたが、2018年から営業を休止し、2020年3月14日のダイヤ改正で惜しまれつつ廃止されました。

歴史

駅が開業したのは1989年7月。地元の二見町や池の浦観光協会が、池の浦海水浴場への誘客を目指してJR東海に要望したことがきっかけでした。当時、JR東海は1万人の利用を見込んでいましたが、実際には海水浴客のマイカー利用への移行などから、利用者は減少の一途を辿りました。

1990年には快速「みえ」も停車するなど最盛期を迎えましたが、2002年頃には海水浴客はほとんどいなくなり、年間停車日数も10日前後まで減少。それでも二見町は駅の存続を要望し続けましたが、2017年には年間利用客がわずか64人にまで落ち込み、ついに廃止という決断が下されました。

駅構造

池の浦シーサイド駅は、単式ホーム1面1線のみのシンプルな地上駅でした。駅舎はなく、ホームのすぐそばが海というロケーションが特徴的でした。ホームの長さは約60メートルで、3両編成の列車に対応していました。ベンチや待合室などの設備はなく、簡素な造りでした。

周辺情報

駅の周辺には、粟皇子神社や池の浦シーサイドパークなどの観光スポットがあります。池の浦シーサイドパークは、遠浅の砂浜が続く海水浴場で、更衣室や温水シャワーも完備されています。しかし、駅からは徒歩で15分程度かかるため、駅の利用者は必ずしも海水浴客ばかりではありませんでした。また、近鉄鳥羽線の池の浦駅も近くにありますが、こちらは約2km離れています。

鉄道ファンに愛された駅

池の浦シーサイド駅は、鉄道ファンには知られた存在でした。営業期間が限られていることや、海に近いロケーションが、鉄道ファンの撮影意欲を刺激していたようです。しかし、海水浴客の減少とともに、駅の利用者は鉄道ファンが中心となっていきました。

廃止後

駅は廃止されましたが、駅手前の黄色い駅名標識は現在も残っています。また、駅廃止後しばらくの間は、運転士が使用するスタフに駅名が残っていましたが、現在は削除されています。

まとめ

池の浦シーサイド駅は、短い期間ではありましたが、地域の観光振興に貢献した駅でした。海水浴客の減少という時代の流れには逆らえませんでしたが、その存在は多くの人々の記憶に残ることでしょう。

無人駅
臨時駅
* 海が見える駅

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