池子
神奈川県逗子市池子の詳細情報
池子（いけご）は、神奈川県逗子市の北東部に位置する町名です。行政地名としては池子一丁目から四丁目までが存在し、住居表示が実施されています。面積は約3.80平方キロメートルで、逗子市全体の約2割を占めています。
地理
池子は逗子市の北東部に位置し、鎌倉市十二所や横浜市金沢区六浦と隣接しています。地名の由来は、かつてこの地域に存在した3つの大きな溜池（大池、摺鉢池、廻り倉池）にちなんでいます。市内では池子と小坪の2区のみが区制を施行しており、1丁目から4丁目の区分とは別に、上町・中町・下町という区分も存在します。
地価
住宅地の地価は、2023年1月1日の公示地価によると、池子2-7-26の地点で1平方メートルあたり15万1000円、池子3-11-39の地点で1平方メートルあたり12万2000円となっています。
歴史
池子の歴史は、特に中世以前については資料が不足しており、不明な点が多く残されています。しかし、1988年から1994年にかけて行われた池子遺跡群の発掘調査によって、弥生時代から近世以降の複合遺跡の存在が明らかになりました。
約6000年前まで、この地域の低地は浅瀬でした。約2000年前の弥生時代中期には人々が定住し、稲作が行われていた痕跡も発見されています。また、池子は古代の東海道が通っていたとされ、日本武尊の東征伝説も残されています。池子の本格的な開拓は、古東海道を通ってきた物部氏によって行われたと伝えられています。池子開発の伝承として、「池子王将監の大蛇退治伝説」も存在します。
池子遺跡群の出土品からは、奈良時代後期には南多摩付近との交流があったと考えられ、小規模な鍛冶が行われていた可能性も指摘されています。
池子村の歴史
1220年（承久2年）には、北条政子が源実朝の菩提を弔うため、池子阿弥陀ヶ谷に阿弥陀如来像を安置したとされています。1333年（元弘5年）には、東勝寺（現・東昌寺）が建立されました。1559年（永禄2年）の時点では、太平寺（鎌倉尼五山の筆頭寺院）の寺領であったとされています。1563年（永禄6年）に太平寺が廃寺になったとみられるため、池子村は北条氏の直轄地となったと推測されています。
後北条氏滅亡後は、1594年（文禄3年）時点では幕領でしたが、徳川家光の寄進により1638年（寛永15年）に池子村の300石が、1642年（寛永19年）には池子村全体の412石が英勝寺の寺領となりました。水戸徳川家と関係の深い英勝寺の寺領となったことで、一種の治外法権地と化し、「泥棒も逃げこんだら追手は入れなかった」という伝承が残されています。また近世を通して名主を庄屋、奉公人を家来と呼ぶなど関東地方では珍しい風習を残しました。
1788年（天明8年）6月13日、池子村において伝染病が流行した際、英勝寺住持戒光院より神輿と牛頭天王を拝領しました。これにより現在も池子神明社の例祭で行われる水干を着用し行列をなす「天王神輿の古式渡御」が始まりました。
明治以降の池子
1868年（明治元年）に池子村は水戸藩の管轄となり、1871年（明治4年）の廃藩置県を経て神奈川県に属しました。当時の池子村の人口は約400人でした。
1889年（明治22年）に田越村が発足し、村役場は延命寺に置かれましたが、1892年（明治25年）に現在の逗子市役所の場所に移転しました。
1900年（明治33年）には池子-六浦間に池子トンネルが開通し、1913年（大正2年）に町制施行により逗子町池子となりました。
戦時中には、池子弾薬庫の建設や横須賀海軍工廠の疎開が行われ、1947年には池子弾薬庫で大規模な爆発事故が発生しました。
戦後、1950年に逗子が横須賀市から分離独立し、三浦郡逗子町池子となり、1954年に市制施行によって逗子市池子となりました。1955年には池子区会が組織され、区制が施行されました。
1972年には接収地の一部が返還され、第一運動公園が開園しました。現在も池子には米軍施設（池子住宅地区及び海軍補助施設）が存在します。
2020年には、市道で崖崩れが発生し、通行中の女性が亡くなるという痛ましい事故がありました。
現在の池子
池子は、古代からの歴史を持つ遺跡群、戦時中の弾薬庫、そして現在も残る米軍施設など、多様な歴史的背景を持つ地域です。自然も豊かで、第一運動公園や逗子アリーナなどの施設も充実しており、市民の生活を支えています。また、池子遺跡群資料館では、池子から出土した貴重な資料が展示されており、地域の歴史を学ぶことができます。
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