池本夢実

池本 夢実（いけもと ゆめみ）

1996年5月1日、静岡県榛原郡川根本町に生まれた池本夢実は、日本の警察官であると同時にプロボクサーとしても活躍する異色の存在です。琉球大学教育学部で学び、卒業後は沖縄県警察に奉職。現在は沖縄署地域課に勤務しながら、琉球ボクシングジムに所属しリングに上がり続けています。

格闘技との出会いからプロの道へ

幼い頃から格闘技に親しんでいた池本は、5歳から空手を始めます。高校は静岡県の強豪校である常葉大菊川高校に進学し、空手選手として鍛錬を重ね、全国大会で第3位という実績を残しました。大学進学を機に沖縄へ移住すると、新たな挑戦としてボクシングの世界へ足を踏み入れます。

2016年5月15日、池本は成田佑美選手との一戦でプロボクサーとしてデビュー。判定ながらも初戦を勝利で飾ると、同年9月21日には後楽園ホールで石井愛世選手を相手に2連勝をマークし、順調なスタートを切りました。しかし、プロ4戦目となる2017年8月12日、赤井優生選手に敗れ、キャリア初の黒星を喫します。

日本王座獲得とキャリアの変遷

その後、池本は初代日本女子フライ級王座決定トーナメントにエントリー。2017年12月17日に行われた準決勝で佐藤絢香選手に勝利し、王座決定戦への切符を掴みました。

迎えた2018年3月8日、ボクシングの聖地・後楽園ホールで、初代日本女子フライ級王座をかけた決定戦に臨みます。対戦相手は小関有希選手。この試合で池本は第2ラウンドに鮮やかなダウンを奪うなど優位に進め、最終的に判定勝利を収めました。これにより、プロボクサーとしてのキャリアにおいて、栄えある初代日本女子フライ級チャンピオンの座に就くことに成功しました。

王座獲得後、2019年2月10日には自身の故郷である川根本町で初の凱旋試合を実施。東洋太平洋バンタム級3位（当時）のグレテル・デ・パズ選手（フィリピン）と対戦し、地元ファンの声援を受けて判定勝利を飾りました。

同年からは沖縄県警察官としての勤務も開始します。プロボクサーと警察官、二足のわらじを履く生活が始まりましたが、その後の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、プロボクシングの興行にも大きな影響を与え、池本のキャリアにも試合が組まれない期間が生じました。実に2年10ヶ月もの長きにわたり、リングから離れることを余儀なくされます。

困難を乗り越え、新たなタイトルへ

長いブランクを経て、2021年12月2日に後楽園ホールで行われたOPBF女子東洋太平洋フライ級王者決定戦で復帰。同級1位として、前王者のチャオズ箕輪選手と対戦しましたが、この試合は2ラウンドTKOで敗れ、復帰戦を飾ることはできませんでした。

しかし、池本は諦めずにトレーニングを続け、再び勝利を目指します。2023年6月10日、大阪府立体育会館第二競技場にて元WBO女子アジア太平洋ライトフライ級王者である緒方汐音選手と対戦。4年4ヶ月ぶりの勝利を目指したこの一戦で、池本は3-0の判定で勝利を収め、再浮上のきっかけを掴みました。

そして2024年7月14日、沖縄県中城郡の中城村民体育館で、WBOアジア太平洋女子ライトフライ級王座決定戦が行われました。このタイトルは前王者・緒方選手が2020年1月に返上して以来、約4年7ヶ月間も空位となっていました。同級2位として決定戦に臨んだ池本は、タイのニラチャポン・タノームサックシー選手と対戦。試合は池本が終始攻勢を仕掛け、第4ラウンド1分19秒、見事なTKO勝利を収めました。これはプロキャリアで初となるKO勝ちであり、同時に第3代WBOアジア太平洋女子ライトフライ級王座の獲得となりました。

現在のプロ戦績は11戦9勝（1KO）2敗。初代日本女子フライ級王座（獲得後に返上）に続き、2階級目となる主要タイトルを獲得した池本夢実は、警察官としての職務を全うしながら、プロボクサーとして更なる高みを目指しています。

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