沈佺期

沈佺期（しん せんき）

沈佺期（656年? - 716年?）は、中国初唐の文学者で、字は雲卿（うんけい）と称しました。現在の河南省安陽市内黄県出身で、呉興郡武康県を本貫とします。宋之問（そうしもん）と共に、則天武后の宮廷詩人として名を馳せ、「沈宋（しんそう）」と併称され、近体詩、特に律詩の詩型を確立したことで知られています。

生涯

675年に進士に及第し、官吏としての道を歩み始めます。武則天の時代には、協律郎などの官職を歴任し、宮廷詩人として才能を発揮する傍ら、『三教珠英』の編纂にも参加しました。702年には、科挙の試験官長である知貢挙（ちこうきょ）に任じられます。

しかし、704年に給事中（きゅうじちゅう）の職にあった際、過去の収賄の罪を問われ投獄されるという不遇を経験します。翌705年、武則天が退位し、中宗（ちゅうそう）が復位すると、張易之（ちょうえきし）兄弟が失脚し、その一味とみなされた沈佺期は、宋之問や杜審言（としんげん）らと共に嶺南（れいなん）へ左遷されることとなります。特に沈佺期は、収賄の罪が加算された結果、最南端の地である驩州（かんしゅう、現在のベトナム北部）へ流刑となりました。

706年、恩赦により都へ戻ることを許され、台州録事参軍（だいしゅうろくじさんぐん）に任命されます。その後、起居郎（ききょろう）と修文館直学士（しゅうぶんかんちょくがくし）を兼任し、中宗の宮廷詩人として再び活躍の場を得ます。後には中書舎人（ちゅうしょしゃじん）、太子少詹事（たいししょうせんじ）などを歴任し、玄宗（げんそう）の開元年間（714年から716年頃）に亡くなりました。

詩風

沈佺期は、宋之問と共に近体詩の韻律を整備することに尽力し、五言律詩の詩型を完成させました。また、当時まだ未成熟であった七言律詩の確立にも大きく貢献しました。彼らの功績は、唐詩の発展に不可欠なものであり、後世の詩人たちに多大な影響を与えました。

参考資料

『旧唐書』巻190 列伝第140中 文苑中
『新唐書』巻202 列伝第127 文芸中
『沈佺期宋之問集校注』（中華書局、2001年）
『続 校注 唐詩解釈辞典 ［付］歴代詩』（大修館書店、2001年)

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