沓掛城

沓掛城の歴史と構造

沓掛城（くつかけじょう）は、愛知県豊明市沓掛町に位置する中世の日本の城です。この城は、交通の要所としての重要性を持っており、歴史的にも多くの出来事が起こりました。旧記では沓懸城という表記も見られ、豊明市からは指定史跡として認定されています。

城の起源と発展

沓掛地域は、長久手や岩崎方面からの街道と鎌倉往還が交差する地点にあり、古くから交通の要所として知られていました。そのため、ここの土地には城館が築かれるのは自然な成り行きでした。城の初見は、正中2年（1325年）の記録に見られ、時の天皇は近藤宗光を召し出しています。また、応永年間（1394年から1428年）には、城が本格的に築かれ、築城者については藤原義行説も存在します。

室町時代を通じて、近藤氏が沓掛城の城主として君臨していたことが分かっています。戦国時代に突入すると、近藤景春が松平広忠の家臣となり、織田信秀の勢力が強まるにつれて、彼は信秀に追随しました。しかし、信秀の死後、今川義元の傘の下に移るという政局の変動がありました。

今川義元の峰入

永禄3年（1560年）5月18日、今川義元は2万5千の大軍を率いて沓掛城に入城します。この際、城主は近藤景春でした。義元はここで軍評定を行い、各武将の指揮系統を確認しました。翌19日、義元は沓掛城を出発しましたが、この時に落馬し、側近が慌てて輿に乗り換えさせたという逸話があります。その後、彼は大高道を経て運命の戦い、桶狭間の戦いに突入します。

沓掛城の落城

義元が去った後、近藤景春は沓掛城を再び拠点に刈谷城攻めを行いますが、5月21日には織田勢の攻撃を受け、城は落城します。近藤氏の支配はここで終焉を迎え、次第に簗田政綱に取って代わられました。政綱は桶狭間の戦いでの功績から沓掛三千貫文を賜り、その後も他の城主が交代しながら城を治めました。

近世の終焉

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、川口宗勝が西軍として戦い、その後捕らえられました。これに伴い沓掛城は収公され、廃城の運命を辿ることになります。

現在の沓掛城

1981年から1986年にかけて、豊明市の発掘調査が行われ、城跡は「沓掛城址公園」として整備されました。現在、遺構として本丸、空堀、諏訪曲輪などが残り、保存状態も良好です。さらに、蓬左文庫に所蔵されている「沓掛村古城絵図」を参照すると、当時の遺構がほぼそのまま残されていることがわかります。

また、市立唐竹小学校に設置された豊明市歴史民俗資料室では、桶狭間の戦いに関連する資料や沓掛城の遺物が展示されており、地域の歴史に触れることができます。沓掛城の跡地は今も多くの人々に親しまれ、歴史を感じさせる場所として大切にされています。

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