近藤氏

近藤氏について

近藤氏は、日本の歴史に名を刻む複数の系統を持つ氏族です。そのルーツは、武家、国人、そして剣術流派にまで及びます。ここでは、各系統の歴史、著名な人物、系譜について詳しく解説します。

藤原姓近藤氏

藤原北家、藤原秀郷または藤原利仁の子孫と称する武門の一族です。その祖とされる藤原脩行が近江掾に任官した際、「近」の字を取り、近藤を名乗ったとされています。この系統から、大友能直（豊後国大友氏の祖）を輩出しました。能直は、当初古庄能直と名乗り、後に父の苗字である近藤能直、さらに母の実家の所領を相続し大友能直と改名しました。また中原氏の猶子となり中原能直とも名乗ったこともあります。

室町時代には、この系統の支流が足利将軍家の奉公衆となり、京都に拠点を移しました。また、四国にも多く、阿波、讃岐、伊予の近藤氏は、四国藤原氏の中でも名族とされています。

旗本・近藤氏

遠江国引佐郡で今川氏に従っていた国人の一つです。この系統は、通字として祖先藤原叙用に由来する「用」の字を使用しました。永禄11年（1568年）に徳川家康が遠江に侵攻した際、徳川氏の配下となり、近藤秀用が数々の功績を上げました。井伊直政の寄騎として活躍し、秀用の晩年には1万7千石の大名（井伊谷藩）にまで出世しましたが、所領を子息に分知したため、以降はそれぞれが旗本として存続しました。

ただし、高野山平等院の『三州過現名帳』には、歴代当主と思われる名乗りが藤原氏ではなく建部氏と記されており、藤原氏を名乗っていたのは仮冒であった可能性も指摘されています。また歴史学者の丸島和洋は、三河国宇利城について、室町時代には建部氏（近藤氏）が城主であったものの、戦国時代前期に三河熊谷氏によって宇利城を追われた可能性を指摘しています。

近藤宗家は交代寄合となり、3409石余を知行しました。当主が名乗った登助は、金指近藤家の当主が代々名乗った通称です。幕末維新期の当主は近藤用虎で、朝廷に早期帰順して本領を安堵され、朝臣となり、中大夫席に列しました。明治2年に中大夫以下の称が廃止されたため、士族に編入されました。明治17年（1884年）の華族令で華族が五爵制になった際、男爵家の候補として挙げられていましたが、最終的には対象外となり、士族のままとなりました。

近藤廉平男爵家

日本郵船会社社長で、その功績により男爵となった近藤廉平の家系です。廉平は旧徳島藩藩医近藤玄泉の次男として生まれ、一族の近藤源兵衛の養子となりました。三菱に入社後、日本郵船の創設に尽力し、社長として海運の発展に貢献しました。日清・日露戦争では軍事輸送にも携わり、その功績から明治44年8月に男爵に叙爵されました。廉平の死後、爵位は子の滋弥、孫の眞和へと継承されました。

近藤基樹男爵家

海軍造船中将で、その功績により男爵となった近藤基樹の家系です。基樹の父は海軍中佐の教育家、近藤真琴です。基樹は海軍技術畑を歩み、大正8年（1919年）に海軍造船中将に昇進。海軍造船と技術向上に貢献した功績により、昭和4年（1929年）に男爵に叙爵されました。基樹の死後、爵位は子の雅樹に継承されました。雅樹は陸軍航空本部の将校で、予備役入り後は攻玉社社長を務めました。

天然理心流・近藤氏

剣術流派、天然理心流の系統であり、幕末の新選組隊長として知られる近藤勇が著名です。現在は、近藤勇の生家である宮川氏の末裔、宮川清蔵が九代目宗家を継いでいます。



これらの記述からわかるように、近藤氏は様々な分野で活躍し、日本の歴史に大きな影響を与えた氏族です。

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