沖縄人民党

沖縄人民党の歴史とその影響

沖縄人民党（おきなわじんみんとう）は、アメリカの支配下にあった沖縄に存在した左翼政党で、その後の日本共産党沖縄県委員会の基盤となりました。1951年から1953年までの期間は「琉球人民党」という名称が使われていました。その結成は1947年に遡り、当時の沖縄では米軍が占領していました。

結党の背景と抗争

沖縄では、1945年の沖縄戦が終結した後、米軍が進駐しました。また、1952年のサンフランシスコ講和条約によって、沖縄はアメリカによる信託統治下に置かれることとなりました。このような状況下で、1967年7月20日に石川市（現在のうるま市）で、兼次佐一、瀬長亀次郎、浦崎康華、池宮城秀意らが中心となり沖縄人民党が結成されました。この党の背後には、当時非合法であった日本共産党琉球地方委員会が存在し、共産主義の理念に基づいて米国の統治に対する強い抵抗を示しました。

沖縄人民党は、その設立以来、労働者の組織化やストライキの主導を行い、反米運動の先頭に立ってきました。しかし、その活動はアメリカの当局から厳しい弾圧を受けました。特に1954年に発生した「人民党事件」では、党員が逮捕され、その影響が党運営に及んだことが記録されています。党の指導者であった瀬長亀次郎は1949年に当選した那覇市長選挙で成功を収めたが、すぐにその地位から追放される事態になりました。

党の発展と他党との関係

沖縄人民党は、沖縄社会大衆党としばしば共闘し、1968年の琉球政府主席選挙では屋良朝苗を支持しました。また、1970年には国政の選挙において瀬長が衆議院に当選するなど、党勢を拡大させていきました。
その後、沖縄の米国からの返還が進む中で、沖縄人民党は1973年に日本共産党との合流を決議し、沖縄県委員会に改組されました。この際に党首だった瀬長は共産党内でも重要な地位を占めることとなりました。

理念の変遷と機関紙の発行

沖縄人民党の設立当初のスローガンは「全沖縄民族の解放」であり、米軍に対する感謝の意を示す決議すら行われました。しかし、時が経つにつれ、1949年の党大会では「自主沖縄の再建」という新たな目標に改められ、1951年には在日米軍の軍事的影響に対する批判が強まりました。

また、人民党は準機関紙として『人民文化』を創刊しましたが、1950年の選挙前に発行停止となりました。1962年には新たに機関紙『人民』を発行し、その後は独自の印刷所を立ち上げて印刷を行うようになりました。

沖縄人民党の歴史は、米国による沖縄統治下での政治的抵抗と、沖縄社会の変革を求める努力の一環として語られます。この政党は、日本共産党沖縄県委員会の前身としても重要な役割を果たし、沖縄の政治の中での左派運動の礎を築きました。

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