沙田

沙田（さてん、広東語：サーティン、英語：Sha Tin シャティン）は、香港・新界に位置する住宅・商業地区です。行政区としては、香港で最も人口が多い沙田区に属しています。かつては棘園、艻園、瀝源といった名で呼ばれていました。

広義の沙田は、沙田区全体を指し、火炭、馬場、馬料水、香港中文大学、九肚山、馬鞍山などを含む広大なエリアを指します。しかし、ここでは、一地区としての沙田（狭義の沙田）について解説します。

沙田は、香港における重要なベッドタウン、そして衛星都市としての役割を担っています。元々は、吐露港に続く入り江がある農村、漁村に過ぎませんでしたが、1970年代に香港政庁が推進した新界のニュータウン建設プロジェクトによって大きく変貌を遂げました。入り江は埋め立てられ、その一部は香港最大の河川である城門河として残され、その周囲には高層住宅が建設されました。この開発により、現在の沙田の街の形が形成されました。

沙田は、香港で最も人口が多い地区の一つですが、同じく人口が多い九龍の観塘地区と比較すると、中流以上の所得水準を持つ住民の割合が高いことが特徴です。

沙田駅には、駅直結の大型ショッピングモール「新城市広場」（ニュータウンプラザ）があります。また、かつては日系スーパーの西友（香港でのブランド名は「西田」）がありましたが、現在は香港資本に売却され、「一田（YATTA）」という名称に変更されています。

沙田には、全ての政府機関が集まっており、地域の中心としての役割を果たしています。また、公園、プール、スポーツ施設などのレジャー施設、文化施設の運営を担う香港政府機関「康楽及文化事務署」の本部も、ここ沙田にあります。

観光名所としては、香港文化博物館や、風車を回すと幸運が訪れると言われる「車公廟」があります。また、競馬の国際競走や香港三冠が開催される沙田競馬場も立地しています。交通の要所としても機能しており、高速道路1号線の終点（起点は香港島南区の香港仔）、9号線、2号線が交わる場所に位置しています。

ニュータウンとしての様相を見せる一方で、沙田には昔からの住民も住んでおり、それらの村落も今なお点在しています。

関連情報として、沙田の航空写真がWikimapiaで公開されています。

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