沙田区

沙田区の概要

沙田区（サーティンキョイ）は、香港の18の行政区の一つで、新界に位置する9つの地区の一つです。沙田、大囲、馬鞍山、火炭、小瀝源といった地域を含み、香港中文大学がある馬料水も区内にあります。人口は香港で最も多く、多くの住民が生活しています。

地理

沙田区は、元々は沙田海と城門川の周辺の埋立地を中心に市街地が形成されました。大囲、火炭、禾輋、石門、小瀝源、圓洲角、九肚山、馬料水などがその中心でした。その後、馬鞍山や烏渓沙へと拡大しています。沙田ニュータウンは、湾を埋め立てて作られており、埋め立ての結果、湾の中央部が城門川の延長として残っています。沙田区は、香港で初めて都市計画の概念を取り入れた地域として知られています。

歴史

開発前

沙田区一帯は、かつて「瀝源」と呼ばれていました。これは、城門川を流れる水に由来する地名です。隣接する大埔区では、石器時代から原住民が住んでおり、沙田区でも馬鞍山で新石器時代や青銅器時代の出土物が見つかっています。明の時代以前には、すでに人が定住していたと考えられます。川沿いに位置していたため、農業が主な産業でした。

1574年には、現在の大囲一帯に大囲村が建設されました。これは、地域で最も古く、最大の城壁に囲まれた村です。その後、城門川沿いの浅瀬に、山下囲、小瀝源、沙田にも村落が形成されました。当時、城門川の河口は現在の獅子橋付近にあり、その北東は沙田海でした。圓洲角は、沙田海の中央に浮かぶ小島でした。

清の時代には、瀝源に存在した40以上の村が「沙田九約」を結成し、共同で治安維持を行いました。当時、瀝源には市場がなかったため、住民は最寄りの大埔墟まで徒歩や小舟で向かう必要がありました。

イギリス統治時代

1898年、清とイギリスは「展拓香港界址専条」に署名し、沙田も植民地の範囲となりました。このとき、イギリス軍が調査団を派遣し、もともと一村に過ぎなかった沙田囲を瀝源全体の地名と勘違いしたことから、地域の総称として「沙田」という名称が定着しました。

1910年、九広鉄路が開通し、沙田村の近くには[[沙田駅]]が設けられました。以来、沙田の地名は次第に知られるようになりましたが、逆に旧来の「瀝源」という名前は忘れられていきました。1920年代には、オーストラリア国籍の華僑である劉希成が、[[沙田駅]]周辺の塩田を購入しましたが、開発は行われませんでした。1937年、暴風雨が地域を襲い、大埔では6mを超える波が発生しました。海水は沙田海に流れ込み、湾の両岸の広大な土地が浸水し、多くの犠牲者を出しました。1950年、劉希成の息子が、[[沙田駅]]周辺の大きな農地（現在のニュータウンプラザ一帯）に沙田墟を建設し、1956年に完成しました。面積は15万平方フィートにも及び、ローストチキンやお粥が有名になりました。しかし、1962年に台風ワンダが再び香港を襲い、沙田墟と近くにあった軍用の沙田飛行場が被害を受け、犠牲者が出ました。

ニュータウンの発展

香港の人口増加に対応するため、1960年、香港政府は沙田を衛星都市として開発することを決定しました。1961年には最初の都市計画が策定されました。当初は大埔理民府のもとで計画が進められていましたが、その後、沙田理民府として独立しました。ニュータウン計画が正式に開始されたのは、先住民の村や沙田飛行場が撤去された1973年のことです。沙田海と城門川の両岸で大規模な開発プロジェクトが実施されました。1979年、沙田墟で火災が発生し、廃墟となったため、香港政府は沙田ニュータウン建設のために沙田墟を取り壊しました。1980年代、政府は当初の計画を拡大し、36万人が収容できる規模へと決定しました。沙田区は、馬鞍山を含む現在の規模となりました。1981年4月には、沙田区議会が設立されました。

年表

1574年 - 大囲一帯に大囲村が完成。
1898年 - 清とイギリスが「展拓香港界址専条」に署名。沙田はイギリス植民地・香港の一部となる。
1910年 - 九広鉄路（現在の港鉄東鉄線）が開通、[[沙田駅]]が開業。
1920年代 - オーストラリア人華僑の劉希成が[[沙田駅]]周辺の塩田を購入。
1937年 - 高潮が沙田海に流れ込み、浸水被害、多数の犠牲者を出す。
1945年 - 沙田郷公所（沙田郷事委員会の前身）が成立。
1949年 - イギリス陸軍航空隊の沙田飛行場が完成。
1956年 - 沙田墟が完成。
1962年 - 台風ワンダが香港を襲来、沙田墟や沙田飛行場に被害。
1963年 - 香港中文大学が設立。
1967年 - 獅子山トンネル南行が完成し、沙田と九龍が直接結ばれる。
1973年 - 沙田ニュータウンが正式に着工。
1975年 - 最初の公営住宅である瀝源邨で入居開始。
1978年 - 沙田旧墟で火災が発生、317名が住居を失う。[[沙田競馬場]]が完成。
1980年 - 沙田旧墟に残っていた店舗の取り壊し。
1981年 - 沙田区議会が設立。
1982年 - 沙田第一城が完成。
1984年 - 沙田ドラゴンボートレースが開催。
1984年 - ニュータウンプラザ完成。
1987年 - 沙田区役所が完成。
1988年 - 沙田裁判所、沙田公共図書館、沙田公園が完成。
1990年 - 城門トンネルが完成。
1991年 - 大老山トンネルが完成。
2000年 - 香港文化博物館が完成。
2004年 - 馬鞍山鉄路（現在の港鉄馬鞍山線）が開通。

住宅

沙田区は、主にニュータウンを中心とする住宅地であり、香港で最も人口が多い地域です。現在の人口は約64万人ですが、最終的には70万人が収容できるよう計画されています。人口の約65％は、公営住宅に居住しており、ニュータウンの境界付近には、原住民の暮らす48の村があり、約2万9千人が居住しています。

公営住宅

香港住宅委員会は、1970年に公営住宅の建設計画を策定しました。最初に完成したのは、瀝源邨です。現在、沙田には香港住宅委員会の賃貸型公営住宅が22棟、香港住宅協会のものが1棟存在します。

公的分譲住宅

香港住宅委員会は、公営住宅と同時に公的分譲住宅も建設しました。火炭に位置する穗禾苑は、沙田で最初の公的分譲住宅です。馬鞍山・烏渓沙には香港最大の民間住宅である富宝花園があります。現在、沙田には公的分譲住宅として、18の公営住宅と7の民間住宅が存在します。

民間住宅

多くの公営住宅が建設される中、大型の民間住宅として、1981年に沙田第一城が完成しました。区内には他にも、銀禧花園、駿景園、新港城、富豪花園、名城といった大型の民間住宅が存在します。

原住民居住村

沙田には原住民の住む村が48存在し、約2万9千人が居住しています。沙田の村同士の協力を促進することを目的として、「沙田九約」という組織が作られています。この中で、大囲村は最も古く、1547年に設立されました。

公共施設

博物館

香港中文大学文物館
香港文化博物館

図書館

沙田公共図書館
馬鞍山公共図書館
瀝源公共図書館
圓洲角公共図書館

体育館

車公廟体育館
恒安体育館
美林体育館
馬鞍山体育館
源禾路体育館
顕径体育館
圓洲角体育館

プール

沙田賽馬会遊泳池
馬鞍山遊泳池
顕田遊泳池

公園

沙田公園
シティアートスクエア
彭福公園
馬鞍山公園
馬鞍山ウォーターフロントプロムナード

スポーツグラウンド

沙田運動場
馬鞍山運動場
曾大屋遊楽場
顕田遊楽場

教育

大学

香港中文大学

中学校

多くの公立・私立中学校があります。

小学校

多くの公立・私立小学校があります。

特別支援学校

特別支援学校もいくつか存在します。

国際学校

国際学校も存在します。

交通

鉄道

香港MTR
■東鉄線
■屯馬線

道路

幹線道路
市区道路

バス

多くのバス路線が運行しています。

外部リンク

沙田區議會のリンク'>沙田區議會
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