沢田寧

沢田寧

沢田寧（さわだ やすし）は、1852年11月26日に遠江国引佐郡金指村（現在の静岡県浜松市引佐町金指）で生まれました。幼名は慶次郎といいました。父は旗本・金指近藤家の家臣で、金指陣屋の留守居役を務める沢田和四郎です。

若年期と学問

幼少の頃より、僧侶の禅統に師事して漢学を学びました。16歳で金指関門の番頭に就任し、明治維新を迎えます。主君である近藤登介が政府の命で江戸へ赴く際、これに従い、野村巴山や中山恒斎に漢学を学び、剣客として知られる榊原健吉の門下にも出入りしました。

弁護士への道

廃藩置県により帰郷後、小学校の訓導として教鞭をとりますが、その後、寺領をめぐる訴訟で、寺側の代理人を務めたことをきっかけに弁護士を志しました。東京の法律学舎で学び、1877年に静岡県で代言人（現在の弁護士）の資格を取得しました。しかし、当時の代言人の地位の低さに不満を感じて辞職。

その後、実業家として水道用材の請負業を始めますが、コレラの流行により経営は悪化、多額の負債を抱えて事業をたたむことになります。

故郷に戻った後、代言人規則が改正され、代言人の社会的地位が向上したことを受けて、再度試験に合格し、1882年から代言人として活動を再開しました。

政治家としての活動

弁護士業と並行して政治活動にも積極的に参加し、国会期成同盟や遠陽自由党の結成に尽力しました。浜松町会議員、浜松町長を歴任し、1902年には衆議院議員に当選。その後、連続4期当選を果たしました。

日本製糖汚職事件と晩年

1909年、日本製糖汚職事件に関与したとして拘禁され、裁判で有罪判決を受けました。これにより衆議院議員を辞職、勲章も剥奪されることとなりました。判決を不服として控訴、上告を行いましたが、最終的に棄却され有罪が確定しました。その後、1937年に生涯を閉じました。

沢田寧は、激動の時代を生き抜き、弁護士、政治家として多方面で活躍しました。その活動は、地域社会の発展に貢献するとともに、日本の近代化を支える一翼を担いました。

参考資料

衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年
『新訂 政治家人名事典 明治～昭和』日外アソシエーツ、2003年
大久保利夫『衆議院議員候補者列伝 : 一名・帝国名士叢伝 第３編』六法館、1890年
山田万作『岳陽名士伝』山田万作、1891年
人事興信所編『人事興信録』初版、1903年
雨宮昭一「日糖事件 - 汚職事件と検察権の拡大」『日本政治裁判史録　明治・後』第一法規出版、1969年

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