河内型戦艦

河内型戦艦（かわちがたせんかん）

河内型戦艦は、日本海軍が第一次世界大戦前に建造した唯一の弩級戦艦です。この艦級は「A-30」という基本計画番号を持ち、艦名の「河内」と「摂津」の2隻から成り立っています。

概要

両艦は1912年に竣工し、次第に運用上の特徴が見えましたが、「河内」は1918年に徳山湾での爆発事故により沈没し、「摂津」は第一次世界大戦後にワシントン海軍軍縮条約によって保有枠から外されました。その結果、摂津は1924年に武装を取り除かれ、標的艦に改装されました。この際、搭載されていた主砲の一部は陸軍の要塞砲として転用されました。

第二次世界大戦では、1945年に呉軍港での米機動部隊の空襲により、艦は大破し着底しました。

艦形について

河内型戦艦の特徴的な船体は平甲板型と呼ばれ、艦首は「河内」が垂直に、対して「摂津」はクリッパー型の流線形を持っています。艦首甲板には新設計の「30.5cm（50口径）砲」1基が連装砲塔として設置され、艦橋と戦闘指揮を行う新型の三脚型マストが設けられました。船体中央部には3本の煙突が立ち、艦載艇のためのスペースも確保されています。

主に舷側甲板には「30.5cm（45口径）砲」が計4基配置され、後方には後向きの主砲塔があります。また、対水雷艇用として15.2cmの速射砲が片舷5基ずつ設置されており、艦首と艦尾に配置された砲が前後部への射界を確保するために船体は凹ませられています。

武装

主砲

河内型の主砲配置は革新的で、ドイツ海軍の戦艦と似たような配置を持っていました。ただし、旧型の艦船に見られるように主砲に異なる口径を持つ2種類の砲が搭載され、これにより統一した射撃管制の実施が難しくなりました。

• - 30.5cm（50口径）砲：艦首と艦尾に設置され、高い威力と速射性で運用されました。発射速度は分速1発で、砲身の動力には蒸気ポンプが用いられました。
• - 30.5cm（45口径）砲：舷側に配置され、安定した性能を持つ一方で、火力の一貫性に問題がありました。

これらの異なる主砲を統一した運用下で相互の初速を調整し、火力を最大限に引き出す工夫がされました。

副砲・その他の武装

副砲には、初めて採用された「15.2cm（45口径）砲」が片舷5門ずつ配置され、さらに対水雷艇用に「12cm（40口径）砲」と「7.6cm（40口径）砲」を搭載しました。対艦攻撃の為には45cm水中魚雷発射管も5基装備されていましたが、後に一部が撤去される改装が行われました。

結論

河内型戦艦は日本海軍における重要な艦船であり、その独特なデザインと配備された武装は当時の戦艦設計の中で重要なものでした。戦局の変化に伴う改装の歴史や、運用上の課題も含め、河内型戦艦は日本海軍の艦艇史において特異な存在です。

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