河原春作

河原春作（かわはら しゅんさく）は、1890年（明治23年）1月14日に生まれ、1971年（昭和46年）10月11日に没した、大正から昭和期にかけての日本の重要な文部官僚であり教育者です。

東京府に生まれた河原は、旧制東京府立第一中学校、旧制第三高等学校を経て、東京帝国大学法科大学法律科に進学しました。大学在学中の1915年（大正4年）には高等文官試験に合格する優れた成績を収め、翌1916年（大正5年）に大学を卒業しました。

卒業後、河原はまず内務省に入省し、静岡県で警視、その後理事官として地方行政に携わりました。その後、文部省へと転じ、教育行政の世界にその活躍の場を移しました。文部省では、事務官、書記官、参事官、督学官などを歴任しながら着実に昇進しました。専門学務局学務課長、大臣官房会計課長、社会教育局長、普通学務局長といった主要なポストを務め、文部省の中枢で教育政策の企画・運営に関わりました。そして1936年（昭和11年）には、官僚としての頂点とも言える文部次官に就任しました。

文部次官を退任した後も、河原は教育分野での活動を続けました。東京文理科大学では学長および教授として教鞭を執り、学術・教育研究の発展に貢献しました。

太平洋戦争終結が迫る1945年（昭和20年）5月、河原は再び文部次官として請われ、激動の時代における教育行政を担いました。さらに同年11月には、天皇の諮問に応じる重職である枢密顧問官に任じられ、国家の重要事項に関わることとなりました。

戦後の占領期には、公職追放の対象となりましたが、追放解除後には再び教育界に戻り、大妻女子大学の学長として、戦後の女子教育の振興に尽力しました。

晩年においても、河原は社会貢献を続けました。1957年（昭和32年）には、設立間もない日本相撲協会の運営審議委員会委員に就任し、日本の伝統文化である相撲界の組織運営にも関わるという、その活動範囲の広さを示しました。

河原春作は、そのキャリアの中で様々な栄典も受けました。位階は従七位から始まり、最終的には1945年（昭和20年）に従三位まで昇進しました。勲章としては、1932年（昭和7年）に勲四等瑞宝章を受章したのを皮切りに、1935年（昭和10年）に勲三等瑞宝章、そして1945年（昭和20年）には勲二等瑞宝章を授与されています。また、国際的な評価も受けており、1937年（昭和12年）にはフランス共和国からレジオンドヌール勲章シュヴァリエの佩用を許されています。

このように、河原春作は激動の時代にあって、教育行政の要職を歴任し、戦中戦後を通じて教育界や文化活動に深く関与した、日本の近代史における重要な人物の一人と言えるでしょう。

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